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YIDFF 2009 シマ/島――漂流する映画たち
フォーリン・スカイ
琴仙姫(クム・ソニ) 監督インタビュー

「恨(ハン)」を解くこと


Q: 在日朝鮮人としてこれまで生活されてきて、そのことがご自身の成長に、どのような影響を及ぼしたと思われますか?

KS: 朝鮮学校に行っていた頃は、ほとんど周りの友だちが、みんな同じような環境で育っているので、高校生までは全然疑問もありませんでした。でも、日本の大学に入った時に、自己紹介をする際、名前を言っただけで聞き返されたり、何で日本にいるのと言われたりしだしたんです。何で知らないんだろうと思うようになって、けっこうカルチャーショックを受けたんですね。日本人の友だちと話している時に、友だちだから敵対心とかは持ちたくないんだけど、やっぱり何気ない言葉や振る舞いとかが重い時がすごくあって、分かち合える友だちもいなくて。自分ひとりでいろんなことを考えたり、消化しなきゃいけなくなったんです。小さい時に習った歌とか、歴史の教育とかが、日本の友だちと全然違うから、それを言わなくなりました。それで、言わなくなると体の中に溜まってくるんですよね。それがもやもやしてすごく気持ち悪くなって、どうにかして外に出したいと、たぶんずっと思っていたんだと思います。

Q: 『フォーリン・スカイ』と名づけられた思いとは?

KS: 北朝鮮に行った時も、空を見て、「空は地球のどこから見ても一緒で、でも何か違うけど同じように、つながっている」という感覚があって、外国に行くごとに空を見上げて、いろいろなことを思ったりしていたんですね。落ち込むごとに空を見ていたんです。歴史的悲劇はあったし、今生きている人々の中にも、心のひずみというのは出てきてしまいました。けれども、私はどちらかというと根は楽観的で、いつか本当の意味で分かり合える時が来ると思っているから、つながっている普遍的なものを探していたんだと思います。

Q: こうならざるをえなかった事情もあり、今の北朝鮮があるのかと思われますが、外側から見てどう感じられますか?

KS: やっぱり近くて遠い国で、今は韓国籍を取得したためもう行けなくなってしまいました。行きたいけど行けない国になってしまったので、私が今できる範囲で何かしたいなと思っています。

Q: そのひとつが、こういった作品を通して、北朝鮮という国の背景を知ってもらうということなのでしょうか?

KS: そうですね。情報を知らせるということもそうなのですが、作品でやりたいのはもっと根の部分なんです。人の心の中にあるわだかまり、韓国語では「恨(ハン)」と書くんですけれども、恨みといったら日本の人にとっては、怖いイメージがあるかもしれません。けれどそうではなくて、こんがらがってしまったものなどをほどくという意味です。そういうことをしていきたいなと思って。それはただ単に情報を知ればいいというわけじゃなくて、もうちょっと深い意味の精神的なレベルで解いていく、そういうことを今考えています。

(採録・構成:安彦晴江)

インタビュアー:安彦晴江、鶴岡由貴
写真撮影:伊藤歩/ビデオ撮影:工藤瑠美子/2009-10-05 山形にて