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2004-10-06 | 映像表現における民族誌的転回:
“トリン・T・ミンハをかこんで” 上映とトーク

 トリン・T・ミンハさんは映画祭のため、山形に来たこともあり、また『The Fourth Dimension』では山形の風景や祭をとりあげている。
 また、新作の『Night Passage』 は宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をモチーフにしている。
 もともとアフリカやアジアの文化や空間を映像の対象、フィールドに選んできた彼女が、日本、それも東北をとりあげていることはきわめて興味ぶかい。
 人類学や民族学が異文化を対象とするフィールド調査や技法のことを「民族誌」(エスノグラフィー)と呼ぶが、近年では映像を使った民族誌や、フィクションや文学の方法を取り入れた新しいかたちの民族誌も生まれている。
 彼女の近年の作品を上映し、オーディエンスとの質疑応答やトークを通して、特定の地域や文化の場に切り込んでいく映像と言葉の可能性を一緒に考えてみたい。

――上野俊哉(和光大学教授)

東北芸術工科大学 特別講座
「映像表現における民族誌的転回:トリン・T・ミンハをかこんで」

1015日[金]17:30−20:00

上映作品:The Fourth Dimension(2001、87分)か『Night Passage(2003、118分)のどちらか1作品
トーク:上映作品を軸に話を進めながら、映像や言葉について観客との質疑応答を行う

[会場] 東北芸術工科大学 本館411講義室
[料金] 入場無料 ※学生以外一般の方の参加も可
[共同開催団体]
東北芸術工科大学、和光大学表現学部表現文化学科
奄美自由大学、山形国際ドキュメンタリー映画祭実行委員会
[問い合わせ] phone: 023-666-4480(映画祭山形事務局)

トリン・T・ミンハ Trinh T. Minh-ha

1953年ヴェトナム、ハノイに生まれる。17歳でアメリカに移住。作曲、比較文学を専攻し、その後フランスで民族音楽学も学んだ。ポストコロニアル(植民地主義以後)の問題設定から批評や理論の分野で活躍するかたわら、映像作家としても尖鋭で多彩な作品を発表しつづけている。映画祭'91では審査員として来形。

主な作品歴
『ルアッサンブラージュ』(1982)
『姓はヴェト、名はナム』(1989)
『核心を撃て』(1991)