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YIDFF 2005 インターナショナル・コンペティション
アフリカ・ユナイテッド
オーラフ・デ・フルル・ヨハンネスソン 監督、ラグナル・サントス(撮影) インタビュー

普通でない人をとりあげたい


Q: どんな意図をもって撮影しましたか? 撮影する時にはかなり大きな権限があったのでしょうか。

ラグナル・サントス: 私がやりたいことは、ほぼ完全に自由にできました。時々監督がやりたいことと、私がやりたいことが少し違うこともあって、そういう時は話し合って妥協しました。それでも、たとえば小さいカメラを使いはじめるということには、ふたりとも納得していました。早い段階で、大きなカメラはうまくいっていないことに気付いたんです。チームのメンバーが、自然に動けなかった。撮影開始から数週間たって、小さなカメラを使いはじめました。それで彼らは、私たちクルーが周りにいることを忘れていきました。2年から3年撮影していましたから、その間に彼らも私たちが撮影していることに慣れて、カメラを気にしなくなりました。

Q: チームメイトのひとりを追いかけてセルビアへ行くシーンの前に戦争を感じさせる映像を入れたのは何故ですか?

オーラフ・デ・フルル・ヨハンネスソン(OFJ): 彼の出身地の一部だからです。あの戦争があったから彼はアイスランドにやって来た。だからそれを見せる必要があったんです。映画の中でモロッコに行っているのも同じ理由からです。

Q: 映画の中でメンバーを追いかけいろんな国に行ってますね。

OFJ: 登場人物の背景を見せないといけない。見ている人が、その国のにおいを嗅ぐことができるようにしたかったんです。ほんのちょっとだけ。

Q: 編集の段階では、あなたが主導権をもったのですか?

OFJ: 僕たちは、だいたい200〜300時間くらいの素材を撮りためていました。編集の弟ベネディクトはそれを全部見て、細切れにして、並べ替えていきました。簡単に言うと、弟に試合を撮影しに行ってもらい、それをコンピュータに入れておいてもらいました。2週間後僕が、その後サントスがそれを見て好きなシーンを選んでいき、弟はそれに従って編集を進めていきました。

Q: すばらしいチームワークですね。

OFJ: 僕たちが協力し合えたのは、それぞれに違うことをしていたからだと思います。主に、サントスは撮影、僕は監督、ベネディクトは編集、という分業でした。

Q: 次回作についてお聞かせください。

OFJ: ちょうど次の映画の編集を終えたところです。10年間撮影した仏教僧についての話で、来年公開になる予定です。それから、ここへ来る前にはフィリピンにいて、レディ・ボーイについての映画を準備していました。来年撮影予定です。

Q: 映画を撮る時は、どんなことにインスピレーションを得るのですか?

OFJ: 普通でない人をとりあげたいと思っています。たとえば、フィリピンのレディ・ボーイとか、結婚することにした仏教僧のように、周りから見ると不思議な決断をした人や不思議なものですね。それを映画にして普通の人に見せる。世界の他の地域にはどんな生活があるのか、ということを見せたいですね。世界にはこんな人がいるんだということを知るのが、お互いを理解する上で重要なことだと思います。だから、ちょっと変わった映画を撮るのです。

(採録・構成:中嶋麻美)

インタビュアー:中嶋麻美、曳野渚/通訳:斉藤新子
写真撮影:小山大輔/ビデオ撮影:小山大輔/ 2005-10-08