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現認報告書 羽田闘争の記録

Report from Haneda

日本/1967/日本語/モノクロ/16mm/58分

演出:小川紳介
演出助手:松本武顕、片山龍峯
撮影:大津幸四郎
撮影助手:田村正毅、大塚登
録音:久保田幸雄
製作進行:小林秀子
製作:上映実行委員会、岩波映画労働組合、映像芸術の会、グループびじょん
提供:映画美学校
*上映協力:BS日本映画専門チャンネル

小川プロが初めて成田空港建設反対運動を描いた『日本解放戦線・三里塚の夏』(1968)製作の前年、日本は「第一次羽田闘争」に揺れていた。10月8日、羽田空港から南ベトナムに出発しようとする佐藤栄作首相を阻止しようと、ベトナム戦争に反対する新左翼の学生2500人(警視庁発表)がヘルメットをかぶりゲバ棒をもって集結する。石と火炎瓶が飛び交い、放水車と装甲車が出動するさなか、機動隊との衝突で京大生の山崎博昭が死亡。

 本作『現認報告書』は、学生が乗っ取った装甲車に轢かれたという当局発表に対し、遺体解剖の細かい分析、手作りの模型や写真を使った解説、目撃者の証言を積み上げ、実際は機動隊の警棒による撲殺であったと検証する。さらにカメラは、一ヶ月後の「第二次羽田闘争」における逮捕者や負傷者の支援活動の様子を、我が子を捜す親の声とともに映し出す。渦中の学生たちの生の言葉がダイレクトに響く。作品には、黒木和雄、土本典昭、東陽一のほか、撮影に鈴木達夫、大津幸四郎、田村正毅が参加した。


- 小川紳介

1936年、東京生まれ。岩波映画製作所を経て、1964年、フリーになる。監督第1作『青年の海』(1966)や『圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録』(1967)などを自主制作。全共闘運動の盛り上がりのなか、全国の大学、職域などで支持を得る。1968年、小川プロダクションを旗揚げし、成田空港建設反対運動を描く「三里塚」シリーズ7作に没頭。農民の側に立って映画を作り続けた。1974年、山形県上山市牧野に移り住み、米作りをしながら農村を見続け、『ニッポン国古屋敷村』(1982)と『1000年刻みの日時計 ― 牧野村物語』(1986)を発表。1989年のYIDFF発足の準備委員として奔走、映画祭を成功に導いた。1992年2月7日逝去。