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事務局より

2013-12-13 | 山形国際ドキュメンタリー映画祭2013 報告

 YIDFF 2013へのご来場・ご支援誠にありがとうございました。

 10月10日から16日までの1週間の会期中、総上映本数は212本、入場者数は総計22,353人、参加ゲスト238人、参加プレス関係者278人を数え、参加ボランティアは総数390人となりました。

 国内外よりご来場の皆様、映画祭を支えてくださった皆様に、心より感謝申し上げます。

 次回映画祭は2015年10月(予定)です。インターナショナル・コンペティション、アジア千波万波部門の作品募集の開始時期は、決まり次第お知らせします。

(山形事務局)

 


2013-12-13 | YIDFF 2013 山形大学主催上映「東欧ドキュメンタリー映画の現在」報告

 YIDFF 2013では、映画祭本体のプログラムの他にも多彩な特集上映、関連シンポジウム、イベントなどが行なわれました。今回はその中でも、山形まなび館で3日間行なわれた山形大学主催の特集上映について、主催者である山形大人文学部の山崎彰教授にご報告頂きます。

 〜「東欧ドキュメンタリー映画の現在」を開催しました〜

 YIDFF 2013開催にあわせて、私も含め8人の研究者が『映像の中の冷戦後世界――ロシア・ドイツ・東欧研究とフィルム・アーカイブ(山形大学出版会)を刊行しました。その内容を紹介するために、先々月の映画祭では「東欧ドキュメンタリー映画の現在――冷戦終了後の世界」を企画し、ポーランド、ハンガリー、チェコスロバキアの映画上映会と講演会を開催しました。第2回山形映画祭(1991)の大賞作品『頑固な夢』(ハンガリー)や、シネマ・デュ・レール映画祭大賞作品『シベリアのレッスン』(ポーランド)など、過去の東欧映画の秀作をまとめてご覧いただくとともに、これらの国の政治や文化の専門家の方に、各国のドキュメンタリー映画事情を、社会や文化の全体状況との関係で語ってもらいました。

 山形映画祭が始まった1989年は、ちょうど東欧革命の起こった年でもあります。このためか、第1回映画祭の『踏切のある通り』(ラトビア)、第2回の 『頑固な夢』と2回連続、大賞が東欧の映画から生まれます。その後も第5回の優秀賞作品『ペーパー・ヘッズ』(スロバキア)などの東欧映画は、1990年代の山形映画祭には欠かせない存在でした。

 講演の内容によりますと、三国のドキュメンタリー映画状況はずいぶん異なっているとのこと。特にドキュメンタリー映画が一文化ジャンルとして盛んなポーランドと、沈滞気味のハンガリーの比較は興味深いものでした。3日間の上映と講演には、全国各地から熱心な映画ファンの方や研究者が参加してくださいました。

 ところで、2004年にはこれらの国はEUに加盟しました。どの国も今では「東欧」と分類するのは適切でないかもしれません。2009年映画祭で上映された『オート*メート』(チェコ)などは、ヨーロッパの1映画として観ることができるでしょう。しかしその分、旧東欧諸国の映画は、独自性を発揮しないと、埋没してしまう危険性もあると感じました。

(山崎彰 山形大学人文学部教授