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インターナショナル・コンペティション

スティーヴィ

Stevie

- アメリカ/2002/英語/カラー/35mm(1:1.85)/145分

監督、ナレーター:スティーヴ・ジェイムス
撮影:ダナ・クッパー、ゴードン・クイン、ピーター・ギルバート
編集:スティーヴ・ジェイムス、ウィリアム・ホーグス
録音:アダム・シンガー、ジム・フェテリー、トム・ヨー
音楽:ダーク・パウエル
エグゼグティブ・プロデューサー:ロバート・メイ、ゴードン・クイン
製作:スティーヴ・ジェイムス、アダム・シンガー、ゴードン・クイン
製作会社、提供:カーテムクイン・フィルムズ
配給:フィルム・トランジット・インターナショナル
Film Transit International
402 E. Notre Dame St. #100, Montreal, Quebec H2Y 1C8 CANADA
Phone: 1-514-844-3358 Fax: 1-514-844-7298
E-mail: janrofekamp@filmstransit.com

1995年、監督は“ビッグ・ブラザー”というボランティアのプログラムを通して親しくなっていたスティーヴィに会うため南イリノイに帰省した。撮影中、スティーヴィは重罪を犯して逮捕され家族はバラバラになる。5年間に渡り、映画はスティーヴィと揺れ動く家族の姿を記録する。彼を見守り続けようとする監督の思いが見るものに伝わってくる。



【監督のことば】南イリノイ大学に通っていた頃、妻が熱心に勧めるので、私はスティーヴィ・フィールディングの“お兄さん”になった。当時11歳だったスティーヴィは扱いにくいじっとしていられない子どもで、イリノイ州南部の小さな村、ポモナで惨めで問題の多い生活を送っていた。1985年、私は映画のキャリアを築くためにシカゴに引っ越すことになり、スティーヴィへのお役目を終えたのだが、私の日記にはこう記してあった。「まるで服務期間からやっと解放されたかのように、スティーヴィと過ごした数年から逃げてはだめだ。私には彼と連絡を絶やさない義務があるのだから」。自分自身にそんな忠告を出したにも関わらず、私は彼と疎遠になってしまい、ほぼ10年もの間、何の連絡もとらなかった。

 1995年、私はスティーヴィと再会し、許可を得て彼についての映画をつくることにした。その時はこの映画が、過去10年でスティーヴィの身に何が起きたかをたどる探求、そして彼の人生を形成した様々な力を理解する作品になると思っていた。私は自分自身や他の人がこの10年間できなかったこと、つまりスティーヴィという人間を理解することをしたかった。本当に、個人的なレベルでは、彼の“お兄さん”をしていた時に手を差し出せなかった自分の失敗を償う行為として、この映画を作りたかった。

 しかし撮影の最中に、スティーヴィは重罪で逮捕され、このことが映画の広がりや方向性を変えた。問題の多い少年というか男性を謙虚に描写する作品のつもりが、彼の犯罪と、それが家族、婚約者、そして私にまで与えた深い影響を展開していく4年半のオデッセイとなった。

 登場人物の絡み合う人生を通して、『スティーヴィ』は地方の貧困、階級、成長、家族史の複雑なる実態、そして社会制度が善意に反してスティーヴィのような子どもたちを救えなかったという複雑な事実を物語っている。私が“お兄さん”役をつとめたことや、この映画の製作を通して経験したように、この映画が観客に、“犠牲者”の人生――恐ろしく難題多き人生の局面を迎えてしまった生涯の犠牲者――への理解をもたらすことを願っている。


- スティーヴ・ジェイムス

ドキュメンタリーと劇映画の世界で、監督、プロデューサー、編集に携わる。初の長編ドキュメンタリー『フープ・ドリームス』(1994)はYIDFF '95のコンペでも上映され、アカデミー賞編集部門でノミネート、A.C.E.編集賞を受賞。その後、初の劇映画『Prefontaine』(1997)を監督。最近では、現代における移民、難民に焦点を当てたアメリカのテレビシリーズ『The New Americans』(PBS)の製作責任、監督、シリーズ編集に携わる。本作品は長編ドキュメンタリー第2作目となる。


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