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家族のかけら

Parts of a Family
Partes de una Familia

- オランダ、メキシコ/2012/スペイン語/カラー/Blu-ray/83分

監督、原作、撮影監督:ディエゴ・グティエレス
録音:マーク・グリン
編集:ダニエル・ダニエル
製作:JB・マクランダー、ハルメン・ヤルヴィン、ディエゴ・グティエレス
製作会社:ボナンザ・フィルムス
配給:デッカート・ディストリビューション

メキシコシティ郊外の4,000平方メートルの敷地に建つ、壮麗な邸宅で暮らす老夫婦を、息子のディエゴ・グティエレスが映像に収めていく。かつては深く愛し合っていた夫婦が歳月とともに疎遠になった軌跡が、息子のカメラを通して浮かび上がってくる。長い間に積み重なって生まれたささいな感情のすれ違い、病などによって邸宅は牢獄にも似た場所と化してしまった。あまりにも普遍的でほろ苦く、切ない愛の物語に息子はどんな結末を与えるのか。



【監督のことば】これは微妙な主題であり、私は時に監督から息子へ、息子から監督へと立場を変えなければならなかった。両親を撮影したいと思ったのは今回が初めてではない。もう何年も前から、彼らはカメラを構える私の姿に慣れっこになっている。おかげで、彼らを煩わせることなく、その自然な姿と本音をカメラに収めることができた。

 また彼らは、息子の私を互いの争いに参加させ、自分の味方に引き入れようとする。私がカメラの後ろにいるので、彼らはレンズをまっすぐ見て話すことになり、その結果、観客もまた彼らの人生の一部になる。

 3年以上の間、私はメキシコシティにある両親の自宅で撮影を行った。そして現在暮らすオランダでほぼ9週間かけて編集を済ませると、完成の前にメキシコに戻り、彼らにラフカットを見てもらった。私が彼らの複雑な関係についての映画を撮っていることは、彼ら自身承知していたが、それでも私は緊張した。

 映画を観終えた両親は、あるひとつの意見で同意していた。「美しい映画だが、とても悲しい映画だ」と。父は「上映する価値のある作品だ。ベルイマンの映画のように、地球上の人間すべてに関わりのある問題を扱っている」と述べた。一方の母は、「人々がこれを観て、人生を台無しにするのは簡単だと理解するのはいいことね」と言った。

 人間の希望と恐怖についての研究の話を誰かから聞いたことがある。どうやらこの地球に暮らす人間のほとんどが、近しい親類や家族のそばで死にたいと考えているようだ。そして、彼らの最も大きな恐怖は、親密な人間関係が消えてしまうことだという。


- ディエゴ・グティエレス

ビジュアルアーティスト、映画監督、カメラマン。メキシコ国立自治大学でビジュアルアートを学び、後にアムステルダムのライクスアカデミーで2年間のレジデンスを経験。現在はビンゲル・フィルムラボ(アムステルダム)で18ヶ月のドキュメンタリー・ラボに参加している。1998年、メキシコシティとアムステルダムに拠点を置くアーティスト主導の組織、エル・デスパチョを設立。ビジュアルアーティストや他分野で活躍する人々が、遊び心のある製作プロセスを通じてドキュメンタリー製作の多様な可能性を探る場を提供している。1998年以来、多数のドキュメンタリー・ワークショップの映画プロジェクトを手がける。また、ケース・ヒン、ヤエル・バルタナ、セバスティアン・ディアス・モラレス、リンダ・バニンクといった映画作家、ビジュアルアーティストと共同で映画を監督。複数の芸術学校、美術館で教師と客員顧問を経験している。