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映像で見つめるYAMAGATA



映像は知らない世界のリアルを伝えてくれる。そしてまた自分たちがすでに知っているとタカを括って立っている場所や、今に繋がる隠れた歴史の断片を映し、眠っていた想像力を呼び起こしてくれるのも映像の力だ。世界中から映像が集まるYIDFFの背後に、それを支えつつ埋もれ広がっている何物かを嗅ぎとれる映像を見てみたい。これはそんな試みのひとつ。


上映とトーク 「雪国を、生きる! 〜雪調とは何か〜」

1933年、山形県新庄に設置された旧農林省の積雪地方農村経済調査所(「雪調」)は、雪国で生きることの特性を明らかにし様々な克雪を試みる、まさに雪と暮らしの実験場だった。初代所長・山口弘道は、積雪期の農民の多様な生産活動を興すとともに、その地に育まれてきた手仕事を推奨し、柳宗悦、芹沢銈介、シャルロット・ペリアン、今和次郎らも関わるなか、雪調は民藝運動の拠点ともなった。今回は豪雪の新庄を描いた『雪国』や雪調に残された記録映像を検証しつつ、雪国で創造的に生きようとした歴史とその継承の可能性も見つめる。


雪国

Snow Country

日本/1939/日本語/モノクロ/16mm/38分

監督:石本統吉
撮影:橋本竜雄、井上莞、竜神孝正、黒瀬進、成田勉
進行:小山良夫
監修:日本雪氷協会、日本民芸協会
製作:大村英之助
製作会社:芸術映画社
提供:新庄市雪の里情報館

新庄に雪調が設置されて6年後に公開された本作は、豪雪に降り込められて生きる人々のありさまを細やかに伝え切って、観る者に驚き与え、生きるという営みへの深い感慨をもたらす。大村英之助、石本統吉らの芸術映画社によって、足かけ3年の長期撮影を経て完成し、日本のドキュメンタリー映画の原点とも言われる傑作。「雪調」の存在の必要性を裏付けるに十分な、力感溢れる一級の映像的資料でもある。



上映後トーク

雪害や克雪という意識を明瞭に持って、豪雪地に生きることを改めて科学した「雪調」の取り組みは、産業振興にとどまらず、地元独自の手仕事や民藝に大きな価値を見出す普遍的な文化運動でもあった。そんな今日的なテーマを孕む「雪調」の歴史と今後の可能性を見つめる。*英語同時通訳なし

登壇者:
結城登美雄(民俗研究家、作家)、成瀬正憲知日舎ひじりしゃ主宰)、高橋伸一(農家、工房ストロー代表)
司会:黒木あるじ(作家)

 


山形県教育センター所蔵 16ミリフィルム上映

山形県天童市にある山形県教育センターには、視聴覚教材として約500本もの16mmフィルムが収蔵されている。そのなかには山形県で制作、撮影されたものも多く、現在ではほとんど公開される機会のない貴重な郷土資料となっている。今回はそのコレクションのなかから、昭和の山形を映し出す3作品を選び上映する。フィルムに刻まれた山形の風景と、そこに生活する人々の生き生きとした営みは、YAMAGATAを深く理解するための絶好の手がかりとなるだろう。


最上川のうた ―茂吉―

Mogamigawa no uta: Mokichi

日本/制作年不明/日本語/カラー/ Blu-ray(原版:16mm)/46分

監督、構成:松岡新也
脚本:清水信夫
語り:鈴木瑞穂、岸田今日子
監修:田中一松
企画:「最上川のうた」制作委員会
製作:マツオカ・プロダクション

斎藤茂吉の歌をたて糸に、最上川の自然をよこ糸に、その流域の歴史、文化、産業を描く文部省特選映画。




若い力

Wakai chikara

日本/制作年不明/日本語/モノクロ/Blu-ray(原版:16mm)/16分

制作:山形県

農村の青年が新しい農業を目指し、意欲と技術の向上を目指す姿を描く。





やまがた 水とくらし

Yamagata: Mizu to kurashi

日本/1979/日本語/カラー/Blu-ray(原版:16mm)/28分

企画:山形県教育委員会
制作:山形県教育センター
製作:山形県視聴覚ライブラリー協議会

恵まれた自然をいつまでも保ち続けるために、いま何をすべきか考えながら、水と私たちのくらしの関わり、水の大切さについて理解を深める、山形県教育センター制作作品。

 




「映像で見つめるYAMAGATA」特別編

バリアフリー上映(日本語字幕+音声ガイド付き)

世界一と言われた映画館

The World's "Top" Theater

日本/2017/日本語/カラー、モノクロ/Blu-ray/67分

監督、構成、撮影:佐藤広一
語り:大杉漣
プロデューサー:髙橋卓也
協力:山形大学人文社会科学部映像文化研究所
製作:山形国際ドキュメンタリー映画祭

「西の堺、東の酒田」と称される商人の町・酒田市には、“世界一デラックス”と言われた映画館「グリーン・ハウス」があった。1976年、 酒田大火の火元となったグリーン・ハウスは、人々の記憶から半ば抹消されてしまう。そして今、40年の沈黙を経て語られる、かつて映画館を愛した人たちによる貴重な証言集。



展示 やまがたと映画館

はじめて映画が上映された明治の後半から、映画祭が30周年を迎える今年に至るまで、山形市はどのように映画と関わり、ユネスコ創造都市ネットワークの映画分野に認定されるまでの文化を築き上げてきたのだろうか。今回の映画祭では、山形市の映画上映についての歴史を、パネルと資料でたどる展示を行う。山形大学の附属博物館で行われた特別展示「創造都市やまがた誕生までの120年」の成果を引き継ぎながら、新発見の資料も展示する。