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YIDFF 2013 インターナショナル・コンペティション
天からの贈り物 小林村の悲劇
羅興階(ルオ・シンジエ) 監督、王秀齢(ワン・シウリン) 監督インタビュー

「永遠の批判者」として


Q: 大きな災害による死別、故郷の喪失に人々が向き合い、乗り越えようとしている姿が感動的でした。本作は、前作『父の日の贈り物』の続編ですが、なぜ2部構成の作品にしたのですか?

王秀齢(WH): 当初予定はしていませんでしたが、640時間という膨大な素材があり、ひとつの作品にはおさまらなかったためです。具体的に決まってはいませんが、例えば10年後の彼らを取材して、第3部ができる可能性もあります。

Q: 前作にも共通していますが、災害を取扱いながら、なぜ「贈り物」という、何か良いものがもたらされたような言葉をタイトルに用いているのですか?

羅興階(LS): 受け手の解釈はさまざまだと思いますが、シニカルな意味合いがあります。災害の結果、人々の葛藤、政治的な衝突や利害関係の駆け引きが起きた状況を風刺しようと思い、あえて用いました。

Q: 監督は、住民と政府、どちらかの立場に立とうとされましたか?

LS: 政府は、災害への対応を自分たちの利益を拡大する道具として使い、住民の利益を損ないました。というのも、馬英九(マー・インチウ)は災害対応の後に再選を果たしましたが、彼が村を3つに分けたことで小林村のコミュニティはこわれてしまっています。住民には、新しい住宅などの「飴」は与えられましたが、そのわずかな利益により判断力を奪われてしまったのです。

Q: この映画の狙いは、そうした状況を明るみに出すことですか?

LS: そうです。私たちのその他の作品でも一貫しているテーマは、社会と政治が出会うところを描くということです。台湾では、私たちのように政府に対して批判的なドキュメンタリーをつくっている人たちはとても少ない。私たちは「永遠の批判者」です。

WH: 多くは政府からお金をもらっており、自己検閲してしまいます。私たちはそうした作品のために「バナナ・ドキュメンタリー」という言葉を造りました。外面はきれいですが、中身はやわらかく芯がありません。

Q: タイトルにある「贈り物」という言葉には、小林村の人たちに、映画を通じて災害前の気持ちを思い出してもらいたい、という意味もあるのでしょうか?

WH: その通りです。

Q: この作品で日本人に伝えたいことは何でしょうか?

LS: 日本と台湾では状況が異なりますが、ひとつ言えるのは、権力が野蛮かどうかは、作品を見ればわかっていただけるということです。本来、権力は住民へ奉仕するものですが、それができていないときに、私たちは権力を観察し続けていく必要があると思っています。カメラというのは、私たちに与えられたささやかな武器です。国家システムという強大なものがうまく機能するために、社会的な平等を追求するために、その武器を使います。ただし、場合によっては、それは私たち自身を批判するものにもなります。

Q: 小林村の人たちは武器をうまく使えるでしょうか?

LS: あくまで私たちは友人としてコミュニティに受け入れられており、私たちがドキュメンタリーを制作していることは彼らには伝えていませんでしたが、彼らが撮影した素材を見て、啓発されるということはあったと思います。中東で、インターネットの動画から権力の不道徳に気づきを得た人たちが変化を起こしたように、いつかは大きな変革につながればよいと思います。

(採録・構成:松下晶)

インタビュアー:松下晶、山田琴音/通訳:秋山珠子
写真撮影:山崎栞/ビデオ撮影:山崎栞/2013-10-13