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さすらう者たちの地The Land of the Wandering Souls (2001 ロバート&フランシス・フラハティ賞) ■1999年、東南アジア初の光ファイバーケーブルの敷設作業が、戦火に荒廃したカンボジアを横切った。この作業は多くのカンボジア人に雇用の機会を与えたが、彼ら自身がその恩恵を受けることはないだろう。数ヶ月に及ぶ作業が進むにしたがって、土地を失った農民、復員兵士、貧しい家族らがさすらいの身となっていく。カンボジア出身の監督リティー・パニュは、自分たちの国を生き返らせるために、乗り越えなければならない矛盾を抱えながら生きる人々を緊張感の中に凝視する。 真昼の不思議な物体Mysterious Object at Noon (2001 優秀賞、NETPAC特別賞) ■監督はタイの国中を旅し、出会った人たちに物語を創作してもらう。画面には、マイクを向けられるタイの地方の人々と、彼らによって語られた「不思議な物体」の物語が、交錯して描かれることになる。話し手により物語は次々と変容する。それは作者自身さえも予想できない展開を見せていく。斬新な語り口、魅惑的なモノクロ映像。アジアからユニークでサスペンスフルな新世紀感覚の映画が誕生した。 シックス・イージー・ピーセス6 Easy Pieces (2001 優秀賞) ■ドキュメンタリー映画のほとんどは観客にメッセージを伝える。しかしこの映画にメッセージらしきものはない。ここにあるのは「映像」そのものであり、「表現」そのものである。石畳の上の子供、射撃する女、踊る女、これらひとつひとつに意味はない。走る車が捉える夜の光の洪水、立ち並ぶ柱の幾何学的美、水面のきらめき、これらはただ見るものの前に立ち現れる。デジタルビデオというフィルムとは異質の表現媒体が提示する6つのエピソード。そこには自由な想像力が無限にとびかう可能性に満ちた空間がある。 A2A2 (2001 特別賞、市民賞) ■オウムをめぐる様々な人間関係。テレビでは伝えきれない「民衆の敵=オウム」をめぐる日本社会のもう一つの姿を私たちは目撃する。 あるアナーキスト ― ドゥルティの生涯Buenaventura Durruti, Anarchiste ■1896年に生まれスペイン革命の際にアナーキスト部隊を指揮し、1936年に亡くなった革命家ブエナヴェントゥラ・ドゥルティ。彼の生涯が、当時のニュース映像を挿入しながら、ストリートパフォーマーの歌と舞台俳優によって演じられる。舞台装置もない普通の部屋、小道具も当時を思わせるものはほとんどない。その中でリハーサルとも本番ともつかない芝居が進行していく。映画の中で芝居が作り上げられ、その芝居自体がいつしか映画そのものになっていく。これはドゥルティの人生に触れる至福の時間となる。 山での日々Days in Those Mountains ■中国・四川省の奥深い山里の村にトゥンがその家族と住んでいる。トゥンは、画家ルオ・ツォンリィの代表作「父親」のモデルとなった老人の孫息子である。1968年から1999年まで、ルオはトゥンと村の仲間たちに会うために村を訪れ、村の人たちもまたルオを歓迎する。農民たちの日々の営みが四季の移ろいの中に、ルオの絵を挿みながら静かなタッチで映し出されていく。都会の喧騒から隔絶された、おだやかな時の流れが2時間42分という長さの中につむぎだされる。 鳥のように ― ラ・ドゥヴィニエールLa Devinière ■1976年、精神療法院のラ・ドゥヴィニエール は、不治の病と言われ他の病院から見放された19人の子どもたちに門戸を開いた。彼らを受け入れることは精神医学の常識、教育の限度を超えているようにみえた。ラ・ドゥヴィニエールは、子どもたちを格子や手錠や薬から解放し、人間として当たり前の尊厳を持たせることに成功した。20年以上の時がたち、カメラは大人になった彼らの日常をふたたび見つめる。鳥のようにすべてが自由であり、そして人生を豊かにすることができる場所がここにある。 刑法175条Paragraph 175 ■ナチスによる迫害が、ユダヤ人だけではなく同性愛者にもおよんでいたことはあまり知られていない。また、彼らが自身の体験談を語ることもほとんどなかった。この映画は同性愛者を差別するドイツの“刑法175条”によって迫害を受けたゲイ男性たちとひとりのレズビアン女性について、歴史に隠された一面を聞き出している。ハインツは強制収容所での体験を告白し、フランス人ピエールは自分のボーイフレンドが虐殺されるのを目撃し、ユダヤ人ガドは地下抵抗組織の指導者としての経験を語る。 青春クロニクルPrivate Chronicles. Monologue ■ヴィターリー・マンスキー監督は膨大な量のプライベート・フィルムと格闘し、あるロシア人青年の青春のクロニクル(年代記)をつくりあげた。1961年から1986年、ユーリ・ガガーリンが宇宙へ行ったその時からソ連が崩壊する直前までの時代。幼年時代、父母の離婚、母と行った海水浴の記憶、友達との喧嘩、始めてのキス。誰もが思い当る青春のひとコマが、作者自身のナレーションによって綴られていく。社会主義国ソビエトのごくありふれた中産階級の家族の何気ない日常を映し出していく。
夢の中でSoshin: In Your Dreams(2001 小川紳介賞) ■朝鮮戦争後、祖国をあとにオーストラリアに新天地を求めた両親。学業としつけに反発し家でした娘が、7年間の絶縁を経て、映画づくりの中で、知らなかった両親を再発見した。実は歌手になりたかった父、映画づくりの現場で大活躍する母……。『愛についての実話』との2本1組でようやく、「コリアン」であり「オーストリアン」でもある作者の素顔が見えてくる。 愛についての実話A True Story about Love(2001 小川紳介賞) ■サンフランシスコの映画祭に招かれ、韓国系アメリカ人監督についての映画を企画した。ところが、行ってみたらいきなり恋に落ちてしまった。しかも2人同時に。アジア系男性のコンプレックス、韓国系の男たちに対する自分の偏見。ベッドにまでカメラを持ちこむことの倫理など、きわどい問題にさりげなく触れながらユーモラスに個人映像世界を展開させている。
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