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山形国際ドキュメンタリー映画祭を応援します


ドロテー・ヴェナーさん Dorothee Wenner(映画作家/ベルリン国際映画祭)

-  山形行きの列車の車窓から観ていると、畑や果樹園が続きます。ここは日本有数の豊かな農産物生産地。映画祭が開催される実りの秋、街中のいたる所で果物や野菜が自慢げに店頭に並びます。まるで宝石のように、これほど大切にされているブドウや柿を見た事がありません。

 ヤマガタ映画祭がドキュメンタリー作品を選ぶ手つきも、それによく似ています。よそでは商売の「主食」として、腹を満たすものとされていることがありますが、ヤマガタへは、世界中のグルメたちが、最高の味わいと美しさを堪能するためにやって来ます。

 映画作家も観客も、ドキュメンタリー映画を愛する人にとって、ここは地上の楽園、桃源郷のような場所なのです。

 


根岸吉太郎さん(映画監督/東北芸術工科大学学長)

-  山形市は盆地だが、四方を山に囲まれていてもそこには山形国際ドキュメンタリー映画祭という大きな穴が開いています。東北芸術工科大学の学生もその穴を覗き、思いもかけぬ世界の現実や生きぬく人の姿に目を開かされます。その時、学生は世界のある一点とつながり、自らの立つ山形を凝視し、それが彼らの通過儀礼になって成長していくのです。

 開学以来、このように映画祭は大学にとって大切なパートナーですが、今後は作品を受けとめるだけではなく、世界に向けた映画を山形から送り出すことも映画祭と大学の共通のミッションであると考えています。映画祭の皆さん、これからも共に歩みつづけ、穴から世界に光と風を送りましょう。

 


王兵(ワン・ビン)さん Wang Bing(映画監督)

-  山形国際ドキュメンタリー映画祭は中国や世界各地のドキュメンタリストから深い敬意を払われていますが、それは山形映画祭が映画に対する自らの価値観を堅持しているからにほかなりません。

 中国において、インディペンデント映画は絶えず政府の文化政策によって規制されています。私もそのような環境で撮る監督の一人ですが、何度も山形映画祭に参加し、映画祭と強い友情のきずなで結ばれたことをとても光栄に思います。

 今後ともより多くの中国のインディペンデント作品が山形映画祭に参加できるよう、映画祭の益々の発展を祈ります!

 


ヤン・ヨンヒさん(映画監督)

-  山形国際ドキュメンタリー映画祭は私にとって宝物のような“母校”です。20年ほど前、心の奥底で燻っていた思いを吐き出したく、その表現方法を模索していた私は、YIDFFでドキュメンタリー映画と出会いました。

 真実とは? 時代とは? 家族とは? 愛とは? 憎しみとは? 記憶とは? 人生とは? ……正解のない沢山の「?」を与えられた私は、今もその問いに向き合い続けています。

 “自分の答えを見つける旅”は特に過酷で心も体も疲れ果ててしまいます。それでも旅を諦め切れないから暫しの充電が欲しくなり山形を訪れます。世界を代表する作品と地元の風土に触れる贅沢な日々は「もう少し頑張ってみよう」という勇気を与えてくれるのです。