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インターナショナル・コンペティション

レイムンド

Raymundo

- アルゼンチン/2002/スペイン語/カラー、モノクロ/ビデオ/127分

監督、脚本、編集、録音:エルネスト・アルディト、ヴィルナ・モリナ
撮影:セバスチャアン・ディアス、エルネスト・アルディト、ヴィルナ・モリナ
アニメーション、グラフィック:ヴィルナ・モリナ 
調査、製作:エルネスト・アルディト 共同製作:フアナ・サピレ
提供:エルネスト・アルディト、ヴィルナ・モリナ
Ernesto Ardito, Virna Molina
Paraguay 4554 1° "C" (1425) Buenos Aires ARGENTINA
Phone: 54-11-4775-5026
E-mail: nikargentina@ciudad.com.ar URL: www.filmraymundo.com.ar

1976年に軍事独裁政権に拉致され殺されたアルゼンチンの映像作家レイムンド・グレイザー。彼が遺した作品、家族を映したホームムービーや資料映像を縦横に駆使、彼の人生と1960年代、70年代のラテン・アメリカの反戦映画や解放運動の歴史が描かれる。小気味よいテンポとサスペンスフルな展開、そして全編を包み込む魅惑的な音楽の中から、CIAや独裁政権が破壊できなかった記憶と理想が立ち上がる。



【監督のことば】この映画を実現させた原動力とは、レイムンド・グレイザーの人生と作品を新しい世代へ再生することにあった。このプロジェクトを開始した時(1998)は、アルゼンチンにはレイムンドの作品が2つしかなく、それも不安定なVHSだった。しかしレイムンドの妻フアナ・サピレの協力もあって、私たちは彼の作品、知られていない革命的映画や革命的闘争についてすべて集め回復する作業を始めた。なぜか? それは創造性、忍耐力、そして正直さを持ち合わせたレイムンドが、映画をアルゼンチンやラテンアメリカの労働者階級が政治的闘争をするための道具に変えた映画作家だったからだ。レイムンドという人物像を神秘化したり、タイムカプセルに封印してしまうのではなく、闘争を続ける人間たちのために、彼を橋渡し役として位置づけたい。だからこそ、この再発見が革命的映画の継続のためには大切なのだ。

 私たちはレイムンドの作品だけではなく、彼の映画の作り方、争いに対する姿勢、歴史的なポジションを見せたいと思う。レイムンドの人生と映画は、決して闘争をあきらめずに鼓舞する彼の同志たちと、一貫性と信念を分かち合っている。彼の映画は上映を禁じられ、その後の民主政権によって忘れられてしまった。その理由は? 都合の悪い思想は、もう聞きたくないから。連中は怠慢の政治に追随し、1970年代の民衆闘争の歴史を歪曲する。だからこそ、彼の映画や革命的映画に息づいている歴史修正主義への政治的非難を語ることが大切であり、今こそが最も有効なのだ。

 アルゼンチンの人々の史的文化遺産であるレイムンドの作品は、再発見される必要がある。彼の映画製作の流派は、新しい作家たちが伝承しなければならない。アルゼンチン人としてのアイデンティティを持ち、人類への肯定的な価値観に基づき、公平な社会の構築に貢献する、そんな映画を作るために。


- ヴィルナ・モリナ

1975年、ブエノスアイレス生まれ。アヴェジャネーダ芸術映画学校で学ぶ。1993年より短編劇映画、ドキュメンタリー作品などを手がけ、編集とアニメーションに従事。1998年よりエルネスト・アルディトと本作品を共同製作。

エルネスト・アルディト

1972年、ブエノスアイレス生まれ。ブエノスアイレス大学で社会コミュニケーション論、アヴェジャネーダ芸術映画学校で映画製作を学ぶ。1993年より短編劇映画とドキュメンタリーを手がけ、1998年にアルゼンチン国立芸術基金より奨学金を得て、初の長編『レイムンド』を製作。


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