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共振する身体 ― フレディ・ムーラー特集


[会場]山形市民会館小ホール

 スイスのドイツ語圏に生まれたフレディ・ムーラー(1940−)は、ダニエル・シュミットやアラン・タネールらと並び、1960年代後半から80年代にかけて、国際的に高く評価された「ヌーヴォー・シネマ・スイス」の旗手のひとりとして知られている。とりわけ、『山の焚火(1985)は、隔絶された山岳地帯を舞台にして、姉弟の近親相姦とやがて訪れる悲劇を描き、ロカルノ国際映画祭金豹賞を受賞している。ムーラーの作品は、その活動時期の移行にも呼応して「実験映画」「記録映画」「劇映画」にも分類されうるが、一貫するのは、ジャンル、題材、地域を超えて、コミュニケーションの不自由と可能性を映画において探求する姿勢にある。人々は、双眼鏡で遠くを覗き、虫眼鏡で対象を拡大し、大地の震えを肌で感じながら、けっして言語だけにとどまることのない身振りや皮膚感覚を通して、自らの身体を世界へと開く。そのとき、映画のなかの芸術家(『チコレ』『ベルンハルト・ルーギュンビュール』『サッド・イズ・フィクション』)は、映画作家の私でもあり、映画を観るあなたでもあるだろう。あるいはまた、険しい山々に囲まれた空間(『われら山人たち』『緑の山』)は、スイス・アルプスの集落でもあると同時に、ムーラーと親交のあった、小川紳介の描く山形・牧野村の共同体へも繋がるだろう。


マルセル1962/18分
パシフィック ― あるいは満ち足りた人々1965/60分
バランス1965/12分
ジュルヴァン1965/12分
チコレ1966/27分
ベルンハルト・ルーギンビュール1966/25分
サッド・イズ・フィクション1969/49分
盲目の男のヴィジョン1969/22分
パッサーゲン1972/50分
クリストファーとアレクサンダー1973/46分
われら山人たち1974/108分
灰色の領域1979/99分
山の焚火1985/113分
緑の山1990/128分