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あの家は黒い

The House Is Black
Khaneh Siyah Ast

イラン/1962/ペルシャ語/モノクロ/DCP(原版:16mm)/21分

監督、編集:フォルーグ・ファッロフザード
撮影:ソレイマン・ミナシアン
録音:マフムード・ハングヴァイ、サマー・プールカマリ
制作助手:ヘランド・ミナシアン、アミール・カラッリ
製作:エブラヒム・ゴレスタン
製作会社:ゴレスタン映画会社
提供:イラン国立映画アーカイヴ

詩人でもあるフォルーグ・ファッロフザードが監督したドキュメンタリー。ハンセン病患者支援協会の依頼で、イラン西北部タブリーズにあるハンセン病患者の療養施設、ババダギハンセン病療養所を撮影した。当時、障碍者を被写体にした映画はほとんどなく、コーラン、聖書からの引用と作家自身の詩によって語られる施設の日常は、「詩的リアリズム」という映画のスタイルを確立した。



髭のおじさん

The Uncle with a Moustache
Amo Sibilo

イラン/1969/ペルシャ語/モノクロ/デジタル・ファイル(原版:35mm)/28分

監督、脚本:バハラム・ベイザイ
原作:フェレイドゥン・ヘダヤトプル
撮影:ネマット・ハギギ
編集:アッバス・ガンジャヴィ
音楽:エスファンディアル・モンファレザデ
出演:サデグ・バフラミ
製作会社、提供:児童青少年知育協会(カヌーン)

空き地の前に立つ一軒家。一人暮らしの老人は、毎日空き地で子どもたちが騒々しく遊ぶ様子をいまいましく思っていた。ある日、飛んできたボールが窓ガラスを割り、怒り心頭に発した老人は、外に飛び出し子どもたちを怒鳴りつけた。老人に恐れをなした子どもたちは二度と空き地に戻ってこず、静寂だけの日常に、老人は徐々に寂しさを覚えるのだった。荒涼とした空き地と一軒家。子どもたちと老人。限定されたロケーションと限られた登場人物だけで生き生きとした映画を生み出し、イラン映画の新しい潮流「ニュー・ウェーブ」の幕開けを告げた作品のひとつ。



放つ

Deliverance/Release
Rahaee

イラン/1971/ペルシャ語/カラー/デジタル・ファイル(原版:35mm)/24分

監督:ナセル・タグヴァイ
脚本:ナセル・タグヴァイ、モフセン・タグヴァイ
撮影:ネマット・ハギギ
出演:マシャラ・ガセミ、シャフバズ・パルシプール
製作会社、提供:児童青少年知育協会(カヌーン)

イラン南部の港町。早朝、少年ダダは友人たちと小さなボートで海へ漕ぎ出し、綺麗な赤い魚を手に入れる。その魚が欲しくなった友人マシューが喧嘩をしかけ、魚をめぐって少年たちの小競り合いがはじまる。ダダはマシューを石で殴り魚を取り返したものの、友人を怪我させたことで小屋に閉じ込められ……。自由を奪われたことで魚の境遇に思い至った少年が魚を海に帰すという啓蒙的な物語が、ロケ撮影によるみずみずしい躍動感を伴い描かれる。少年たちが小船を駆使して遊ぶ海、魚を取り合い走り回る喧騒の路地、一転して薄暗く静寂に満ちた小屋などの印象的なショットが、「イラン・ニュー・ウェーブ」を感じさせる。1972年にヴェネチア児童映画祭でグランプリを受賞したほか、海外で高い評価を受けた。