english
インターナショナル・
コンペティション
  • 阿仆大
  • アルマジロ
  • 密告者とその家族
  • 日は成した
  • 殊勲十字章
  • 川の抱擁
  • 失われた町のかたち
  • 監督失格
  • ネネット
  • 遊牧民の家
  • 光、ノスタルジア
  • 星空の下で
  • 飛行機雲(クラーク空軍基地)
  • 何をなすべきか?
  • 5頭の象と生きる女

  • 審査員
  • アトム・エゴヤン
  • ハイレ・ゲリマ
  • 市岡康子
  • アマル・カンワル
  • フェルナンド・ペレス
  • 失われた町のかたち

    Images of a Lost City
    Imagens de uma cidade perdida

    - アメリカ、ポルトガル/2011/ポルトガル語/ カラー/Blu-ray(SD)/92分

    監督、撮影、編集、録音:ジョン・ジョスト
    音楽:アマリア、アルフォンソ・セコ
    製作、提供:ジョン・ジョスト
    www.jon-jost.com

    リスボンの街角。坂の上にある石畳の広場のベンチに腰かける女性たち。バイクにいたずらする少年たち。坂を行き来する人々。けだるく、ものうい光と風。路面電車。サッカーに興じる子どもたち。長く伸びた樹々の影に重なるギターの響き。何の変哲もない日常の風景ではあるが、美しくしかしどこか切ない。ジョン・ジョストが15年の歳月をかけて撮り続けた“失われた町”に捧げる映像詩。



    【監督のことば】本作は、デジタルビデオが一般消費者向けに販売され始めてすぐの1996年から97年に撮影した。デジタルビデオの到来と共に、私はすぐにそれが持つ可能性の大きさに気付いて、それ以来フィルムを使うことはせず、デジタルビデオだけで撮影することにした。デジタルビデオがかなりの低価格で提供されたおかげで、膨大な素材を撮影することが可能になり、同時に、長いショットを撮ることも可能になった。デジタルビデオの他の特徴と共に、セルロイド映画制作とは異なる審美的な効果をあげ、『ロンドンスケッチ』(1997)や『Nas correntes de luz da ria formosa』(1999)、『シックス・イージー・ピーセス』(2000)、『ウイ・ノン』(2002)を見ればわかるように、私は手法を探求する道に入っていった。

     当時撮りためた11時間ほどの素材の中から選別したものが、本作となった(本当はもっとたくさん撮影したのだが、面白味のない映像は、撮ったその日のうちにゴミ箱行きにしていた)。ストーリーがないと編集も難しくなり、したがって撮影してから作品完成までは、より時間がかかることになる。そういった制作方法は、セルロイド映画の時と比べてリズム感や時間感覚、それに環境音に対する集中力がまったく違い、「物語」なり「主題」といった手軽な手掛かりがないままに、時間を通していかに作品を編成していくかを考えなければならない。

     これは、とある場所と、その地の生気や霊についての作品である。特別かつ独特なリスボンという町の特徴をうまく捉えられていることを願っている。


    - ジョン・ジョスト

    1943年、シカゴ生まれ。軍人の家庭で、ジョージア州、カンザス州、日本、イタリア、ドイツ、それにバージニア州などで育つ。62年に大学を中退、63年1月に独学にて16ミリ映画の制作を始める。これまでに短編は約20本、長編(16ミリならびに35ミリ)は14本ある。全て自身で企画、撮影、演出、編集。また、そのほとんどは自ら製作もしている。10年程短編映画を撮った後、74年に初の長編作品を完成。以降、いろいろなジャンルのシリーズを手がけている。 現在、ソウル在住。延世大学校教授、妻のマルチェラと共に数多くのプロジェクトを手がけている。YIDFFではこれまでに『プレーントーク&コモンセンス』(1987)、『ロンドンスケッチ』(1997)、『シックス・イージー・ピーセス』(2000、YIDFF 2001 優秀賞)、『ウイ・ノン』(2002)の4作品を上映している。