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[インド]

あまねき調べ

Up Down & Sideways
Kho Ki Pa Lü

- インド/2017/チョクリ語/カラー/Blu-ray/83分

監督、脚本、編集、提供:アヌシュカ・ミーナークシ、イーシュワル・シュリクマール
撮影:アヌシュカ・ミーナークシ、 イーシュワル・シュリクマール、 タルン・サルダーンハー
録音:アルウィン・レゴ、サンジャイ・マウリヤ
音楽:フェクの村
製作:マーナス・マルホートラー

インドのミャンマー国境近く、ナガランド州フェクにある約5,000人が暮らす農村。急斜面には棚田が広がり、自給自足の協働作業を支えるコール&レスポンスのワークソングが響き渡る。一方で、穏やかな人びとの表情の奥には、インドからの分離・独立紛争での戦闘や略奪、拷問によって多くの人が亡くなり、家や農地が破壊された苦い記憶が残る。田畑も、恋も、友情も、喪失も、皆が歌とともにある。歌は村を包み込み、受け継がれていく。



- 【監督のことば】2011年に初めて訪れたとき、フェクは収穫の季節を迎え、村人のほとんどは畑に出ていた。私たちの印象に残ったのは、村人たちが疲労や単調さ、それに極度に過酷な労働を、リズムと音楽という共通体験に変えていたことだった。

 なぜ人は、働きながら歌うのだろうか。なぜ世界中のコミュニティで、人びとは音楽の力を使って日々の経験を変換するのだろうか。何が人びとを集め、協力して働かせるのだろうか。この問いは、故郷マドラスで私たちが体験した、集団としての活動とも関係している。この種の問いに、満足する答えは見つからない。長い時間をかけたフェクでの撮影を通して、私たちもだんだんとわかってきた。これらの問いへの答えは、理解するのではなく、経験すべきなのではないだろうか。そしてそれが、私たちの目指したことでもある。


- (右から)
アヌシュカ・ミーナークシ
イーシュワル・シュリクマール

アヌシュカ・ミーナークシは映像作家であり、地域でビデオ制作を教える。また、演劇の音響も手がける。イーシュワル・シュリクマールは俳優、劇場の照明・音響デザイナー。両者ともパフォーマンス集団「Perch」に所属している。2011年に始めた活動が「U-ra-mi-li(我が民族の歌)プロジェクト」として結実。音、映画、パフォーマンスを通して、日々の生活に存在するリズムと音楽を探求する活動であり、音楽と労働の関係に特別な関心を寄せている。創造の過程を共有することを主眼に、学校、コミュニティ・スペース、個人の自宅、さらにより公的な場所などを訪問しプロジェクトを進めている。このプロジェクトは、Pad.ma(公共アクセス・デジタル・メディア・アーカイヴ)からの助成を受け、また「民族音楽のためのアーカイヴと研究センター」、「The Other Media」、デンマーク国立博物館、ムンバイの国立舞台芸術センターとのコラボレーションで作品を創っている。