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亀井文夫特集 [戦後のドキュメンタリー]

みんな生きなければならない―ヒト・ムシ・トリ“農事民俗館”

All Must Live: People, Insects and Birds
- 1984/カラー/16mm/80分

撮影・企画:菊地周
録音:久保田幸雄
音楽:福岡稔(ロスコージャス)
解説:浜島信子
構成:亀井文夫
製作:菊地文代
製作会社:東京写真工房
提供:日本ドキュメント・フィルム

-大都会の一角、東京都世田谷区等々力4丁目23番地、ここの居住者の一員、ヒキガエルと女郎グモ。ヒキガエルが種の保存活動で産んだ卵は、市の薬剤散布で全滅。都市化という名の自然破壊と人工環境づくりが広がっている。都市農業を行なう大平さんは、不動産屋の説得にもめげず先祖代々の畑を守る。無農薬有機農法を始め、消費者グループ若葉会が協力。庭木の刈り込みの屑や生ゴミなどの材料を利用した堆肥づくりに始まり、畑に集まるさまざまな生物の営みを丹念に描写。若葉会の会員による応援、会員の感想などがあって、豊かに実った梅やトマトの収穫。裏盆会の行事が終わると、さまざまな昆虫が種族保持のため生殖活動を行う。若葉会は秋の行楽を兼ね、長野県伊那の生産者、水野さんのりんご園を訪問、無農薬の新米を食べ消費者と生産者の交流が行われた。大平さんの農園では冬に備え畝に落葉を入れ、霜除けに笹竹を刺す。大晦日にしめ縄を作り、神棚に供え豊作を神に祈る。正月は多摩川神社に詣で、満願寺にある祖先の墓に参る。1月14日には餅で飾りものを作り、さらに粟穂稗穂(あぼひぼ)というものを作り神棚に供える。

 春になって若葉会総会が開かれ、水野さんの畑では今年もまた、さまざまな生物の活動が始まる。最後に〈鳥なく環境(さと)こそ人間にとっても生きるための絶対条件。まちがっても、鳥の鳴かない「沈黙の春」を到来させてはならない!〉と字幕で訴える。菊地周が経営する東京写真工房によりエコロジカル農業映画として一旦完成したが、菊地は再構成を亀井文夫に依頼、亀井はそれまでに考えていた「生物みなトモダチ」というテーマをそっくり持ち込んで完成した。



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