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    ナトコの時間がやってきた

     戦後、GHQの占領政策の一環として、民間情報教育局、通称CIEの教育映画が盛んに上映された。それらは、使用されたナショナル・カンパニー社製映写機の略から「ナトコ映画」と呼ばれ、全国各地、映画館などの無い地方でも盛んに上映会が催された。山形県も多分にもれず、ナトコの日を制定している集落や、ナトコの上映会を定期的に開いていた集落も数多く存在した。本プログラムでは山形におけるナトコ上映会とはどのようなものであったのか、そしてナトコ映画とは何だったのかを、上映を通して検証する。

     GHQによる教育映画という戦後の一側面。当時のアメリカを垣間見る歴史のかけら、そして純然たる映画としての面白さ。様々な問いと答えを内包して、ナトコ映画はまわる。

     さあ、時は来た。ナトコの時間だ。

    (斎藤健太)

    A

    - 16ミリ映画について

    Facts about 16mm Film

    1950/日本語/モノクロ/ ビデオ(原版:16mm)/10分
    提供:徳島県文書館

    戦後になって、民間にも浸透しはじめた16mmフィルムと映写機の使用方法、注意事項などをまとめた、いわば今で言うマニュアルビデオ。とはいえ、ユーモラスな作りは見る者を飽きさせず、加えて当時の機材が映った映像や使用方法の面白さなどは、一度でも16mmフィルムを上映した人ならば興味を持つこと請け合い。



    - 公民館

    Citizen's Public Hall

    1950/日本語/モノクロ/35mm/32分
    製作会社:日本映画社
    提供:東京国立近代美術館フィルムセンター

    福島県の田舎町、飛騨の山奥、瀬戸内海の離れ小島……。日本各地に設置された新しい時代の象徴、公民館を撮影隊が訪ねて行く。集会場や地域教育の場所としての機能だけではなく、地域の風土に根ざしたもろもろの活動は、見ていて思わず引きこまれるものがある。公民館の中に美容室やパン屋が設置されている光景など、当時の知られざる文化が垣間見える1本である。



    - スクェア・ダンスを踊ろう

    Let's Square Dance

    1950/日本語/モノクロ/35mm/14分
    監督、脚本:丹生正、水木荘也 撮影:日向清光、竹内光雄 
    製作会社:東京映研 提供:東京国立近代美術館フィルムセンター

    4組のカップルが1セットになって四角形を描くように踊る、スクェア・ダンス。アメリカでの流行の様子や、数え切れないほどの人々が、はじけそうな笑顔をまきちらしてダンスを通じた交流を重ねる模様を、朗らかに紹介している。基本動作を教えるシーンは、不思議な斬新さをおぼえる。これさえ見れば、すぐにアナタもスクェア・ダンスが踊れるはず! 必見!



    - 格子なき図書館

    Libraries without Bars

    1950/日本語/モノクロ/35mm/22分
    製作会社:日本映画社
    提供:東京国立近代美術館フィルムセンター

    1950年に施行された図書館法。借りるまでに大変な手間がかかった蔵書閉架式の図書館を「格子」になぞらえ、それに替わって出現した、国民に解放された新しい図書館の機能が紹介される。移動図書館や集会所としての機能など、普段何気なく使っている図書館が、紆余曲折を経て国民に解放された事がわかる貴重な記録である。

     


    B

    - 腰のまがる話

    Bent with the Years

    1949/日本語/モノクロ/ビデオ(原版:35mm)/19分
    監督、脚本:桑野茂、庵原周一 撮影:中村誠二
    製作会社:日本映画社 提供:徳島県文書館

    山深い信州で、生活改善に取り組む農協婦人部の女性たちの姿を描く劇仕立ての映画。ひたすら酷使される農村の女性。主人公である婦人の取り組みにはじめは耳を貸さなかった夫も、次第に活動に理解を示しはじめる……。戦後の民主主義社会は女性が変えるのだ! そんな熱い叫びがスクリーンから伝わってくる。



    - ディスカッションの手引

    Discussion Techniques

    1952/日本語/モノクロ/ビデオ(原版:35mm)/23分
    製作会社:理研映画、日本漫画映画  提供:徳島県文書館

    民主的な議論を進めるための、様々な議論形式を紹介した作品。講壇式討議、バズ・セッション、ロール・プレイング法などを、学校や職場などでの実例を交えて、ユーモラスに解説している。国内制作のCIE映画では珍しく、アニメーションを場面に応じて使用している。



    - いとしき子らのために

    Children's Guardian

    1950/日本語/モノクロ/ビデオ(原版:35mm)/39分
    出演:御橋公、花沢徳衛
    製作会社:東宝 提供:徳島県文書館

    小学校を舞台に、理想に燃える教員が地域の教育委員選挙に横行する不正に立ち向かい、主人公である用務員とその息子の心を動かしていく物語。民主教育の建設をうたった、劇仕立ての作品。成瀬巳喜男作品で知られる御橋公が用務員役を、花沢徳衛が地元のボスの子分を演じている。

     


    C

    - 保健婦の手紙

    Public Health Nurse

    1951/日本語/モノクロ/ビデオ(原版:35mm)/18分
    製作会社:プレミヤ映画 提供:徳島県文書館

    看護学校時代の友人同士が、往復書簡でそれぞれの働きを語り合う構成を用いて保健婦の活動を紹介する。団地へ感染予防の啓蒙活動に赴く都市部と、スキーをはいて雪に覆われた家々を回る山間部との対比が、興味深く描かれている。衛生観念をわかりやすく教育、浸透させようと試みた、当時のアメリカの姿勢がうかがえる。



    - 病菌はどこにあるか

    Where Are the Germs?

    1952/日本語/モノクロ/ビデオ(原版:35mm)/18分
    製作会社:中井プロダクション 提供:徳島県文書館

    保健所の食品衛生監視員が、子どもたちのかかった食中毒の原因を調査、究明していく。推理劇を見るかのような緊張感を楽しみながら、感染の予防法を学ぶ作りになっている。当時の衛生管理のあり方を確かめる事の出来る、ユニークな1本。



    - 大地の子

    Son of the Earth

    1958/日本語/モノクロ/ビデオ(原版:35mm)/45分
    製作会社:日本映画新社 提供:徳島県文書館

    開拓に従事する父を追って、北海道にやって来た主人公の少年。父の働く姿を見つめていくうちに、北海道の大地と共に生きることを決意する。戦後間もない北海道開拓の様子が丁寧に記録された劇映画。荒涼とした大地に鍬をふるい、重機を走らせる男たちの肉体が、モノクロームの画面せましと動きまわる。

     


    D

    - アメリカへの手引き

    Introduction to America

    1952/日本語、英語/モノクロ/ ビデオ(原版:35mm)/21分
    製作会社:フランク・ドノヴァン・アソシエーツ
    提供:徳島県文書館

    米国を訪れた日本人留学生たちの、バード・カレッジでのひと夏を記録した映画。はじめは異文化に戸惑いながらも、やがて、言葉の壁を越えて各国からの留学生と打ち解け、議論を交わすまでに成長する様子からは、国際化を広く打ち出していたアメリカの姿が垣間みえる。



    - 戦争花嫁

    Japanese Bride in America

    1952/日本語/モノクロ/ビデオ(原版:35mm)/30分
    製作会社:ニッカーボッカー・プロダクション
    提供:徳島県文書館

    「戦争花嫁」とは、戦後間もない占領期に米軍関係の男性と結婚してアメリカに渡った日本人女性を指す言葉であった。米国の軍人と結婚し異国の土地で暮らす日本人女性が、言葉や文化の壁を乗り越え、竹細工など日本独自の文化によって交流を深め、アメリカ社会に受け入れられるまでを描いた作品である。



    - イギリスの炭鉱業

    The Cumberland Story

    1950/英語、日本語/モノクロ/ ビデオ(原版:35mm)/40分
    監督:ハンフリー・ジェニングス
    提供:徳島県文書館

    実話に基づく、イギリスの海底炭鉱開発にまつわる物語。炭鉱の再組織にあたった先駆的な努力を、歴史や経過を丁寧に追いながら、劇映画の方式で解説していく。演じているのはプロの役者ではなく、関係者たち自身。それによって不思議なリアリティが生み出されている。