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[インド]

トランスジェンダーつれづれ

In-Between Days

- インド/2012/ベンガル語/カラー/Blu-ray/58分

監督、脚本:ションコジト・ビッシャス
撮影:ショウロブ・カンティ・ドット
編集:ションコジト・ビッシャス、プリタ・チョクロボルティ
録音:シュカント・モジュムダル、SK・アブドゥル・ロッジャク
音楽:タジュダル・ジュナイド
製作:モウピア・ムケルジ、ションコジト・ビッシャス
提供:ションコジト・ビッシャス

コルカタに住む仲良し二人組。少年の頃から女の子っぽかったチランジトは、男たちから性の対象として見られてきた。高校で女っぽさをからかわれるブバイは、試験に落ちたら勘当すると家族から言い渡される。体を売り買いすることが性(さが)のように見られてしまう彼らも青春の道を歩む。恋も失恋もするし、何より愛に飢えている。ふたりはトランスジェンダーのコミュニティに集う姉御たちに見守られながら、生きるための表と裏の現実を知るようになる。



【監督のことば】インドでは昔から、子どもに対する性的搾取が大きな問題だった。しかし被害者として認められるのは、生物学的に女性である少女たちだけだ。その結果、生物学的に男性である少年や、トランスジェンダーの少女たちについては、インドを含む南アジアの一部で存在が認められていたにもかかわらず、ほとんどが明るみにされてこなかった。彼らはインド社会のタブーだ。そのため、少年たちに対する性的虐待は滅多に報道されず、黙殺されてきた。心は女性である少年、つまりトランスジェンダーの少女たちは、たしかに社会の異端ではあるが、古代からインド社会に受け入れられ、祭りや祝い事などの行事では表舞台にも立っている。それでも性的搾取の被害者になり得るとは認識されず、基本的な人権も守られてこなかった。

 インドでは、少女と比べて、少年は売春によって受ける肉体や精神の傷は小さいと考えられている。そのため特別な支援やケアは必要ないとされてきた。その認識の甘さが、売春や人身売買の被害者になる少年やトランスジェンダーの少女が後を絶たないという現状につながっている。

 そうした問題に加え、私は彼らの目を通して「女性性」というものを考察したいとも考えていた。彼らは「本物」の女性ではないが、女性になりたいと思っている。インドの社会と文化において、「女性」とはどのような意味を持つのか。彼らの映画を撮ることは、それを探るまたとない機会だった。


- ションコジト・ビッシャス

1975年10月21日、コルカタに生まれる。サタジット・レイ映画テレビ学校の大学院で3年にわたり編集を学び、2005年に卒業。2010年、ベルリン・タレント・キャンパスに参加。編集に携わった作品は、アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭コンペティション部門、ライプツィヒ国際ドキュメンタリー・アニメーション映画祭、トロント国際映画祭、YIDFF、イスマイリア・ドキュメンタリー映画祭、南アジア映画祭で上映された。編集作の受賞歴は、国際映画批評家連盟奨励賞、プラハのワン・ワールド国際人権映画祭特別賞、カラ映画祭最優秀ドキュメンタリー賞、イスマイリア・ドキュメンタリー映画祭審査員賞、ムンバイ国際ドキュメンタリー短編映画祭国際審査員賞など、栄誉ある賞が並ぶ。ドキュメンタリー映画の編集のほかに、サタジット・レイ映画テレビ学校とジャダプール大学映画科で編集を教えた経験も持つ。本作が監督としての第1作となる。