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[日本]

わたしたちに許された特別な時間の終わり

The End of the Special Time We Were Allowed

- 日本/2013/日本語/カラー/Blu-ray/151分

監督、脚本、編集、製作:太田信吾
撮影:岸建太朗、飯塚諒
録音:落合諒磨
音楽:青葉市子
共同プロデューサー:土屋豊
原題:岡田利規(チェルフィッチュ)
提供:Midnight Call Production
tokubetsunajikan.tumblr.com

「俺は自殺する才能があったんだ」ふたりが成功する青春映画を作ろうと約束していたミュージシャンの友人と監督。しかし友人はクランクアップを待たず、自殺してしまう。遺書には、映画を完成させて欲しいと記してあった。残された監督は、撮りためた映像を見返しスタッフや役者を集め、自ら友人を演じたフィクションも交えて映画を完成させようとする。素顔と演技、実在と不在が錯綜し、物語は崩壊していく。



【監督のことば】私はこれまで覚えている限り、自殺未遂を二度しています。一度目は、フランスのトゥーロンという街で、失恋の果てに大量の薬を服用して。二度目は、自宅マンションのベランダから、就職活動に失敗した困難の果てに飛び降りようと試みて。いずれも失敗に終わって今もこうして生きているのですから、どうやら私には、自殺の才能が、とにもかくにも欠けているのでしょう。そんな私を尻目に、自殺で早々とこの世を去っていった親友の、残された人間への思いやりに満ちた自覚的な生き様(死に様)に触れ、そのことを痛感した次第です。

 それじゃあいったい、私には何の才能があるんだ? 何の才能もないかもしれません。でも、もはやそんな言葉遊び、私にはどうだってよいのです。だって、私が、あなたが、感じたこと、それだけでもうすでにフルスロットルの真実じゃないですか? 才能があろうとなかろうと、真っすぐに信念を貫き通した人間の、無様な美しさをあなたに伝えたくて、そしてもうひとつ、なぜ人は自ら死を選ばなければならないのか、その理由をあなたと探りたくて、この映画を作りました。命がけで作ったので、命がけで観てください。


- 太田信吾

1985年、長野県生まれ。早稲田大学の卒業制作で引きこもり青年と家族の関係を描いた映画『卒業』(2009)がイメージフォーラム・フェスティバル2010 で優秀賞・観客賞を同時受賞。同年、映画『少年少女』(2010)が大阪アジアン映画祭を皮切りに上映される。被写体が無意識に備えるパフォーマティビティに自覚的な演出や、過剰さの果てのユーモア、祝祭性の狭間に紡ぎ出される人間讃歌がこれまでの作品の特徴。2009 年からは、横浜を拠点に世界各国で演劇公演を行っているチェルフィッチュの活動に俳優として参加。2010年、『三月の5日間』の香港公演で初舞台を踏み、国内外での公演に出演。舞台と映画を横断して活動している。