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政治と映画:パレスティナ・レバノン70s−80s


106日−10日 [会場]山形市民会館小ホール

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 1967年の第三次中東戦争とそれに続くレバノン内戦を背景に、1970〜80年代にパレスティナ・レバノンに関する多くの映画が作られた。

 第1部:「パレスティナ革命とミリタント映画」では、1968年にヨルダンでパレスティナ解放機構(PLO)が設立したThe Palestine Film Unit(PFU、後のThe Palestinian Cinema Institute)によって製作された映画をはじめ、パレスティナ解放を求める民衆運動に連帯し世界の映画人が作った作品を上映する。映画人たちが試行錯誤しつつ、政治と映画に向き合った軌跡をみることができる。また、後にその時代を考察した作品として、68年の「五月革命」を経験したスイスの映画作家リヒャルト・ディンドが、パレスティナに連帯したジャン・ジュネの足跡を辿った『シャティーラのジュネ(1999)と、80年代に生まれたパレスティナの映画作家ムハンナド・ヤークービが「ミリタント映画」とその時代を考察した『オフ・フレーム/勝利まで(2016)も併せて上映する。そして、『赤軍 ― P.F.L.P.・世界戦争宣言(1971)上映後には、監督の足立正生とムハンナド・ヤークービによるトークセッションを開催する。当時と今のパレスティナを知る二人の映画作家の対話から、未来へ向けた新たな視点が見えてくるはずだ。

 第2部:「ジョスリーン・サアブのレバノンそしてベイルート」では、アラブを代表する映画作家ジョスリーン・サアブがレバノンとベイルートを描いた作品を紹介する。レバノンでは1975年に内戦が勃発し、90年の終結まで15年におよぶ破壊と暴力により、国土は一変した。サアブが、突出した知性と行動力で生まれ育った町の変貌をカメラに収めた4作品と、内戦が終わり、レバノンのシネマテーク設立を記念して監督した『昔々ベイルートで(1994)を上映する。失われたベイルートを記憶し続ける映画作家サアブの初期の仕事を知ることができる、日本初の特集上映となる。


第1部:パレスティナ革命とミリタント映画
ファタハ:パレスティナ監督:ルイジ・ペレッリ/イタリア/1970/イタリア語/80分 6日15:30

オフ・フレーム/勝利まで監督:ムハンナド・ヤークービ/パレスティナ、フランス、カタール、レバノン/2016/アラビア語、英語、フランス語、イタリア語/62分  7日14:40

赤軍 ― P.F.L.P.・世界戦争宣言監督:足立正生/日本/1971/日本語/71分 7日16:25
トークゲスト:足立正生、ムハンナド・ヤークービ

勝利まで/われらパレスティナ人監督:パシフィック・ニューズリール/アメリカ/1973/英語/52分
オリーブ監督:グループ・シネマ・ヴァンセンヌ(アリー・アキーカ、ギー・シャプリ、ダニエル・ドゥブルー、セルジュ・ル・ペロン、ジャン・ナルボニ、ドミニク・ヴィラン)/フランス/1976/フランス語、英語、アラビア語、ヘブライ語/83分 8日10:30

100通りの1日監督:クリスティヤーン・カージー/レバノン/1971/フランス語、アラビア語/65分 8日13:25

第5の戦争監督:モニカ・マウラー、サミール・ニムル/ドイツ、イラク/1980/英語/65分
クフル・シューバ(旧題『パレスティナのいま』) 監督、編集:サミール・ニムル/イラク、レバノン/1975/アラビア語/36分 9日10:30

シャティーラのジュネ監督:リヒャルト・ディンド/スイス/1999/フランス語、アラビア語、英語/98分 10日10:30

ヒア&ゼア こことよそ監督:ジャン=リュック・ゴダール、アンヌ=マリー・ミエヴィル、ジャン=ピエール・ゴラン(1970年のオリジナルフッテージ)/フランス/1976/フランス語、アラビア語、ドイツ語/55分 10日13:00

第2部:ジョスリーン・サアブのレバノンそしてベイルート
ベイルート、もう二度と監督:ジョスリーン・サアブ/レバノン/1976/英語、アラビア語、フランス語/36分
ベイルートからの手紙監督:ジョスリーン・サアブ/レバノン/1978/英語、アラビア語、フランス語/52分
わが町、ベイルート監督:ジョスリーン・サアブ/レバノン/1982/フランス語/38分  6日17:40

騒乱のレバノン監督:ジョスリーン・サアブ/レバノン/1975/フランス語、アラビア語/75分 7日19:20

昔々ベイルートで監督:ジョスリーン・サアブ/レバノン、フランス、ドイツ/1994/フランス語、アラビア語、英語/104分 9日19:20
※上映後、スカイプ中継による監督質疑応答を行ないます。