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こどもと映画


 みんなでつくる こども映画制作ワークショップ(山形)
 コトニ夢映画制作プロジェクト(札幌)
 こども映画教室

助成:財団法人山形県生涯学習文化財団(平成27年度YAMAGATAアートサポート事業)
協力:NPO法人北海道コミュニティシネマ札幌、こども映画教室


 山形国際ドキュメンタリー映画祭は、これまで「映画とあそぼう!」(2004)、「山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー 子どもの映画教室」(2010−)、「おやこ・映画とアニメのワンダーランド」(2010−11)、「アニメーションをつくろうinふくしま」(2014−15)など、試行錯誤を繰り返しながらこどもたちが映画に触れる場をつくってきた。ここでは全国的に行われている「こどもと映画」の取り組みを紹介する。ものづくりの先には、きっと素直な驚きと喜びが待っているはずだ。


みんなでつくる こども映画制作ワークショップ(山形)

やっと雪が解けたばかりの3月の山形。初めての映画づくりに取り組んだのは小学1年生から高校2年生までの32人。「はじめまして」の挨拶から企画、取材、撮影、演技指導、録音、編集、そして上映までに与えられた時間はたったの2日間。メイキング映像も同時進行で上映会に滑り込み。こどもたちはもちろん、大人たちも初めてのことだらけ。だからこそ走り切れたのかもしれない2日間の濃密さは、作品に表れているでしょうか?


-こども映画制作ワークショップ 制作作品

Films from "Cinema for Children" Filmmaking Workshop

日本/2015/日本語/カラー/Blu-ray/49分
『輪』(6分)、『Nuts 愛』(10分)、『エリザベス&武司物語[2D]― たくさんの愛 感動インタビュー』(13分)、『なにげない あい 〜Love is Wonderful〜』(8分)、『「みんなでつくる こども映画制作ワークショップ」メイキング』(12分)

講師の冨樫森監督が示したテーマは「愛」。異年齢の子どもたちで編成された4つの班が、山形市内を縦横無尽に駆け巡り、そしてちょっと寄り道しながら描き出したそれぞれの「愛」。冒険、ファンタジー、恋愛、ホームドラマ、ダンス、即興音楽。愛とは勢いなのかもしれない。

みんなでつくる こども映画制作ワークショップ

日程:2015年3月7、8日
場所:東北芸術工科大学
講師:冨樫森 
オブザーバー:佐藤広一、庄司樹、鈴木周一郎
参加者:小学1年5名、2年1名、3年8名、4年5名、5年6名、中学1年2名、2年1名、3年1名、高校1年2名、2年1名
主催:こどもと映画プロジェクト実行委員会(山形市、山形大学、東北芸術工科大学、山形国際ドキュメンタリー映画祭)



コトニ夢映画制作プロジェクト(札幌)

札幌で6年間続く中学生の短編映画制作ワークショップは、近年高く評価され、映画祭や海外でも上映されるほどになった。その集大成として、ワークショップを主催する北海道コミュニティシネマ・札幌と琴似地域のコミュニティがプロジェクト実行委員会を結成、助成金や企業協賛、市民サポーター(約400人)などにより制作費600万を集めて制作したのが『茜色クラリネット』。監督は、2年間ワークショップを経験し、中学3年で書いた脚本が評価された高校1年生の坂本優乃。中高生20名とプロの大人約30名に、400名を超える地域応援団で完成させた。


- 茜色クラリネット

AKANE

日本/2014/日本語/カラー/Blu-ray/81分
配給:シアターキノ

未来を選択しなければならない季節。その先には「大人」という存在がいる。大人たちへの不信感、大人になることへの不安、大人でも子どもでもない中間の「いま」だからこそ伝えられるものは何か、坂本監督率いる中高生たちが創りだす等身大の成長ファンタジー。

コトニ夢映画制作プロジェクト

期間:2012年10月〜2014年2月
場所:札幌市西区琴似地域
講師:8名、撮影時の大人スタッフ約30名
参加者:中学1年〜高校3年生21名
主催:NPO法人北海道コミュニティシネマ・札幌



こども映画教室

「こども映画教室」は、小学生を対象として、映画鑑賞、制作、視覚玩具制作など、映画に関するワークショップを全国で開催している。こども映画教室の理念は、大人は手出し口出ししないでこどもの自主性を尊重すること、一流の映画人とこどもを出会わせること。3日間でお話づくり、撮影、編集、上映までをすべてこどもたちが協力して行う。これまで中江裕司、是枝裕和、萩生田宏治、諏訪敦彦、河瀨直美、冨樫森、鈴木卓爾、前田哲、横浜聡子、砂田麻美といった監督たちを講師に迎えた。


- 不思議の森 〜夢見てた場所を目指して〜

The Mysterious Forest--Seeking the Place of Dreams

日本/2015/日本語/カラー/Blu-ray/11分

丘の上の展望台を目指していた4人のこどもたちが不思議な森の中で眠りにおち、目覚めると4人はバラバラになっている。互いに互いを探しながら森を迷い……。こどもたちの真剣な演技と、こどもたちの動きに導かれるカメラの動きが、リリカルで、ナラティブに頼らない驚くべき傑作。音楽もオリジナルで、すべてこどもたちの発案である。

こども映画教室@ヨコハマ2015

日程:2015年7月24〜26日
場所:東京藝術大学
講師:諏訪敦彦
参加者:小学1年1名、2年1名、3年2名、5年1名、6年1名
チームスタッフ:今橋貴、大川景子、深田隆之
主催:こども映画教室「こども映画教室@ヨコハマ2015」



- 早大通りで立ち上がる

Standing Tall on Sodai Street

日本/2014/日本語/カラー/Blu-ray/6分

是枝監督が与えたテーマは「?」。早稲田の街に繰り出し、疑問に思う題材を探し、それを探求する。このチームは、2日目の夕方まで題材が見つからず街をさまよったが、最後、早大通りに並ぶ赤ん坊の銅像群を見つけ、その存在について調査する。しかし誰もその銅像について知らない……。締め切り迫るなか、爆発的なエネルギーで撮り切ったドキュメンタリーの傑作。

こども映画教室@早稲田エンパク2014

日程:2014年11月21〜24日
場所:早稲田大学およびその周辺
講師:是枝裕和
参加者:小学1年1名、3年1名、4年2名、6年1名
チームスタッフ:今中康平、佐藤由紀、江頭樹、寺村南希
主催:早稲田大学演劇博物館「こども映画教室@早稲田エンパク2014」



- 時を感じたぼく達

We Who Felt Time

日本/2015/日本語/カラー/Blu-ray/11分

前田監督が与えたテーマは「時間」。時間ってなんだろう? 時間って見える? 時間が足りないとかいうけど、測れる? 時間についてみんなで考えた後、ドキュメンタリーとフィクションに分かれて、それぞれ作品が作られた。そのうち、ドキュメンタリー・チームの作品を上映する。

こども映画教室 2014年度中等クラス

日程:2015年3月26〜28日
場所:金沢21世紀美術館およびその周辺
講師:前田哲
参加者:小学1年1名、3年1名、4年2名、6年1名
チームスタッフ:上野克、北井瑠以子、道吉雅也
主催:こども映画教室

 


シンポジウム こどもと映画

こどもと映画を考えることは、こどもと映画の関わりだけでなく、こどもと教育、映画とまちづくりを考えることでもある。本シンポジウムは、映画ワークショップの企画者、経験者だけでなく、さまざまなバックグラウンドを持つ人々にとっての学びの場としたい。