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その他企画


特別招待作品

 YIDFF初代東京事務局長で、映画祭立ち上げ時から故小川紳介監督や協力者らと共にYIDFFの基盤を築いた矢野和之が2024年に永眠した。YIDFF '89〜'93での上映を重ねて完成し小川に捧げられているキドラット・タヒミック監督『虹のアルバム』(1994)を追悼上映する。また、小川紳介監督生誕90 年の節目に小川プロが山形へ移行する転換点となった『三里塚・辺田部落』(1973)を上映する。朴壽南(パク・スナム)監督が約40年間撮り続けていた16mmを基に、原爆被害を受けた朝鮮人、沖縄戦の朝鮮人元軍属、日本軍の「慰安婦」にされた女性たちなどの声なき物語を戦後世代の監督の娘と共に紡ぎ上げた『よみがえる声』(2025)をクロージング上映する。

虹のアルバム(僕は怒れる黄色'94)監督:キドラット・タヒミック/1994/175分 14CS
三里塚・辺田部落監督:小川紳介/1973/146分 13CS
善き谷の物語監督:ホセ・ルイス・ゲリン/スペイン、フランス/2025/122分 15CL
バルセロナ郊外のバルボナ地区では、20世紀半ばから移り住んできた住民の家族と、近年世界各地からやってくる新世代の移民たちが共に暮らしている。幹線道路や鉄道により周囲から隔てられ、開発から取り残されてきたこの町で、彼らは野菜や花を育て、歌い踊り、水路で禁じられた遊泳に興じる。住民たちと3年をかけて撮影した本作は、さまざまな人生や歴史の影を折り重ねるように反射させ、透過させながら、変わり続ける世界の現在を果敢に映し出す。

オープニング上映
アメリカン・ダイレクト・シネマ特選
解体美術館監督:D・A・ペネベイカー/1960/8分
誰かに愛されなければ君は誰でもない監督:D・A・ペネベイカー/1964/12分
カットピース、1964/1965製作:アルバート・メイズルス、デヴィッド・メイズルス/1965/9分
プーナイル・コーナーの家(『1PM』からの抜粋)製作:D・A・ペネベイカー/1971/8分
パノーラ監督:エド・ピンカス、デイヴィッド・ニューマン/1970/21分 9YC

クロージング上映
よみがえる声監督:朴壽南(パク・スナム)、朴麻衣(パク・マイ)/2025/148分 15YC
関連展示
矢野和之メモリアル
[日時]1011日[土]−13日[月・祝]13:00−19:00
[会場]旧吉池医院


再訪やまがたクラシックス
山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー所蔵作品 デジタル化プロジェクト

助成:一般財団法人長瀬映像文化財団

[会場]F3 フォーラム山形3

ルート1/USA監督:ロバート・クレイマー/フランス/1989/255分/YIDFF '89 インターナショナル・コンペティション山形市長賞 14F3
時は名前を持たない監督:ステファン・ヤール/スウェーデン/1989/61分/YIDFF '89 インターナショナル・コンペティション特別賞 14F3

 


やまがた秋の芸術祭2025 やまがた創造都市国際会議2025
わがまちの映画資料――ユネスコ世界視聴覚遺産の日を祝して

主催:山形市、山形市創造都市推進協議会、認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
協力:「やまがた秋・冬の芸術祭」実行委員会

[日時]1011日[土]14:00−16:00
[会場]Q1やまがたクリエティブシティセンター Q1 2-C

映画の記憶を未来へ!
 本年の「やまがた創造都市国際会議」は、ユネスコ世界視聴覚遺産の日を記念し、映画分野で創造都市に加盟する韓国・釡山市のほか、国内各地で活躍する映画資料の収集・保存の専門家をお招きします。大切な資料を地域で守り、残し、活かし、そして次世代へと手渡すための知恵や工夫をわかち合います。

パネリスト
シン・ソンウン(釜山シネマセンター、釜山アジア・フィルムアーカイブ フィルムアーカイブ・マネージャー)
稲垣知里(木下惠介記念館/浜松市鴨江アートセンター アートコーディネーター)
松本圭二(福岡市総合図書館文学・映像課 映像管理員)
森宗厚子(広島市映像文化ライブラリー 映像文化専門官)
コメンテーター:加藤到(認定NPO 法人山形国際ドキュメンタリー映画祭 理事長)
ファシリテーター:石原香絵(山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー 調査員)
関連上映
[会場]F1 フォーラム山形1
フィルム 私たちの記憶装置監督:イネス・トハリア・テラン/カナダ、スペイン/2021/120分 10F1

 


YIDFFネットワーク企画上映

 YIDFFネットワークは、1989年の第1回映画祭開催にあたり、小川紳介監督の呼びかけで集まった有志のボランティア・グループで、市民向けの金曜上映会の運営、映画祭の作品選考、出版物の発行などに携わってきた。さらに、毎回映画祭と協力しながら、独自の視点による企画上映を行っている。

魂のきせき監督:小林茂/2025/97分 14F3
「魂の殺人」といわれる「性虐待」。ひとりが背負うべき苦しみなのか。絶望の先にこそある希望に手をのばす。かすかな一筋の魂の光。
 友人が性虐待のフラッシュバックを起こしPTSDに苦しんでいる。長年それを見てきた監督が、性暴力サバイバーであるひとりの写真家と出会ったことから映画制作を決意する。8年という長期の制作期間。悔恨・殺意・ウツ・不眠・解離・自傷・希死念慮などのPTSDを抱える彼らの内奥に潜む絶望と希望とは何か。映画を作る意味を問いながら画面に登場する監督。苦しみのどん底から見上げる彼女たちの生きる姿に光を見ようとする。