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インターナショナル・コンペティション



審査員
ペドロ・コスタ
蓮實重彦
アラニス・オボンサウィン
キドラット・タヒミック
アピチャッポン・ウィーラセタクン

 インターナショナル・コンペティションは、平成元年(1989年)に始まった本映画祭の第1回目から実施され、毎回15本を上映。今回で約150本を数え、常に時代の変遷を見つめてきたプログラムです。その積み重ねてきた歴史は、イコール「山形国際ドキュメンタリー映画祭」の歴史でもあります。

 映画祭2007開催に向けて、2006年9月から今年4月まで応募された作品は100の国と地域から969本に達し、過去最高になりました。初回が221本。4倍以上にふくれあがったこの状況は、応募受付者が驚嘆すると同時に悲鳴を上げ、予備選考委員には過重であり至福な選考時間を強いる状況となりました。

 これは、当初フィルム作品のみを受付けていましたが、近年の小型ビデオカメラの普及と共にビデオ作品が急増した状況をふまえ、2001年からビデオ作品を解禁したことにあります。2007年応募の80%がビデオ作品の時代に突入しました。

 今回は、15本のうち9本がビデオ作品です。作品の傾向に、自らのルーツを辿ることで見える個人史と国家史、家族との絆など、決して自己陶酔的センセーショナリズムに陥ることない個から重層的かつ広遠な世界を模索する作品が目立ちました。

 また、これまでのヤマガタでも紹介された監督、初参加国、他映画祭での話題作など、例年になくバラエティー溢れた作品群となっておりますのでご期待下さい。

 審査員には初回からご参加いただいている蓮實重彦氏、2001年に本プログラムで紹介したペドロ・コスタ氏と1999年にアジア千波万波で初めての国際映画祭を経験したアピチャッポン・ウィーラセタクン氏、YIDFF '93「世界先住民映像祭」の上映作家アラニス・オボンサウィン氏、初期の本映画祭を語るに欠かせないキドラット・タヒミック氏と、山形映画祭をよく知るゆかりのある方々をお迎えします。この5名により大賞であるロバート&フランシス・フラハティ賞を含め4つの賞が決定されます。

 このプログラムを実施するにあたり、多くの製作者、関係者、ボランティアの方からご支援・ご協力を頂きました。ご参加いただきます観客の皆さまにも併せて、この場を借りまして、心より厚く御礼申し上げます。そして2007年で10回目の節目を迎え、これまでの山形映画祭を懐かしむ多くの人たちの想いと、これから更なる邁進を志す山形映画祭に期待を込めて。

浅野藤子