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アジア千波万波 [トルコ]

HUMMADRUZ 〜大地の呼び声〜

Hummadruz
- トルコ/2000/トルコ語/カラー/ビデオ/56分

監督・脚本・撮影・編集・製作:ハサン・カラジャダー
製作会社・提供:スヌマ・プロ
SI-NU-MA Pro.
Hanimefendi Sok No.16, D6 Sisli, Istanbul, TURKEY
Phone: 90-532-622-8115 Fax: 90-212-216-8245
E-mail: hanzala33@hotmail.com

原題は、「大地の深淵から響く謎の音」の科学的な名称から来ている。故郷を後にした人々の多くが、常にこの音を耳にするという。2部構成の前半はトルコ東部の荒地が舞台。幼なじみとの淡い恋、子ども同士の遊びと笑い、病身の母親との添い寝などの思い出と並び、大きく見開いた眼のアップ、血、恐怖、緊迫感を表すイメージが積み重ねられる。後半は東部出身の父親と幼い息子の飛び降り自殺、そして母親のあと追い自殺をドラマとして作りあげている。長年住みついた土地からイスタンブールへの移住を余儀なくされた東部の人々の絶望感と焦燥の世界観を、実際の事件を題材に表現した作品。



【監督のことば】「我々は大地から来て、また大地へ戻っていく」という、イスラム風土が生んだ言葉に表現されるように、人の短い命の「生」と「死」を最も強く結びつけるものが「大地」なのだと私は考えている。人は生まれ育った大地に愛着を抱く。常に変化する万物の中において唯一、「人」と「大地」と「死」の関係だけは絶対である。

 近年トルコ共和国では、南部・南東部から西部へ生活の糧を求めて移住した人々の中に、自殺が増加している。私はこの問題に着目し取材するうち、南東部出身の家族がイスタンブールで心中した事件に遭遇した。

 私はこの心中事件の根底にあったと思われる、愛する大地を離れ移住せざるを得ない人々の魂の痛みと歪みを表現しようと努めた。

 作品のタイトルとなった「HUMMADRUZ(ハマドルーズ)」とは、大地の深淵から響く一連のミステリアスな音色の科学的な名称のことである。生活の糧を得たはずの父親は、なぜ息子を連れて死へのダイビングを選んだのだろうか。そして、行き場を失った母親は、どれほどの苦痛をもって死に魅了されたのか。それぞれの耳に「HUMMADRUZ」が甘美にこだましなかったと、誰が言えるだろうか。

 

- ハサン・カラジャダー

1976年トルコ・ディヤルバクル生まれ。1993年より3年間の軍隊生活を送った後、1995年より映画製作を開始。トルコ映画監督協会の映画学校に入学し、1997年にカリキュラムを修了する。これまでに数々の短編映画、ドキュメンタリー、広告映画を製作している。彼の作品歴は『The Smell of My Father's Stockings』(1995)、『The Song of People with AIDS』(1997)、『Funerals and Weddings』(1996、1997年度トルコ映画監督協会最優秀短編映画賞)、『Bushido Brother』(1997)、『Gypsies in Turkey』(1997)。『太陽はどこに?』(1999)は1999年本映画祭「アジア千波万波」にて上映。『PAS』(2000)は2001年東京ビデオフェスティバルにて金賞を受賞。


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