yidff1999小川プロワールドインターナショナル
yidff1999柳沢特集アジア千波万波日本パノラマヨリス・イベンス
yidff1999ビデオアクティビズム事例討議審査員transrate-English

beforenext
■妹へ
■ヘアーカット
■シーズン・オブ・ザ・ボーイズ
■綿打ち職人
■江湖
■よそに住んで
■老人
■1997年、僕は17歳になる
■98年的生活言語
■革命前のメモ
■秋のお話
■マーヤーのために
■友よ、いかに生き延びよう
■鉄の魔術
■クマール・トーキー
■外部の季節
■ジャカルタ・ストックショットNo.7
■カマスの人形
■絹
■テヘラン、25時
■わな
■放課後
■自転車
■あんにょんキムチ
■新しい神様
■姫ころがし
■北朝鮮の少年たち、中国へ逃れる
■天日干し赤唐辛子を作る
■3本足のカラス
■空っぽの家
■ジャイク
■人魚島の子ども
■二人の間で…ベイルート
■祈祷師
■テンション
■モーゼからの権利証書
■メイド・イン・フィリピン
■部族へ帰れ
■美麗少年
■労使間の滑稽な競争
■I Love (080)
■紅葉野球チーム
■ハイウェイで泳ぐ
■狩りに出る2人
■エキゾチック概論
■第三世界
■太陽はどこに?
■二つの岸の間で
 
クマール・トーキー
Kumar Talkies
インド/1999/ヒンディー語/カラー/16mm/76分

監督・編集:
パンカジ・リシ・クマール
撮影:アヴィジト・ムクル・キショール
録音:サティーシュ・P・M
提供:ドク・ワーカーズ・インターナショナル
(Doc Workers International)
Ferdinand Bolstraat 426, 1072 ME Amsterdam
THE NETHERLANDS
Phone: 31-20-675-4651 / Fax: 31-20-675-4656
E-mail: docworkers@wxs.nl


パンカジ・リシ・クマール
Pankaj Rishi Kumar


インド映画テレビ学院でフィルム編集を学び1992年に卒業。『女盗賊プーラン』では編集助手を勤め、テレビの連続ものやドキュメンタリーの編集をしている。1996年、彼の初の映画、ドキュメンタリー作品『クマール・トーキー』の構想を抱く。この作品はロッテルダム国際映画祭のヒューバート・バル基金およびインド芸術財団から金銭的支援を受け製作された。様々な国際映画祭で上映され、インド国内で最優秀音響賞を受賞。

クマール・トーキーは、小さな町カールピーの荒れ果てた映画館の名称だ。ロードショーはせいぜい数日しか上映が続かず、映写 技師の気まぐれで、どの上映も(リールを抜かれて)いくつもの歌や踊りを欠いている。かつては監督の父親の経営だったこの映画館には、良き時代の思い出もある。作品は家族の証言や8ミリ映像で記憶をたどる。しかし暗闇のなかで輝く観客の顔が自ずと語っているのは、映画の魔術がいつの時代も人を虜にし続けることだ。
【監督のことば】

新しい映像制作技術の登場により、私たちの知識の地平は広がり、世界にうまく対処する能力がついた。しかしそれは従来の制作方法(伝統的なものも近代的なものも)を蝕み、それに取って代わることによって成立した。新技術の到来によって、グローバル文化の危急性が、インド北部のカールピーのような町の人々の集合的想像力に影響を与えるようになる。この町では映画は瀕死の状態にあり、存在の平凡さから遥かにかけ離れた異国の夢や借り物の欲望が永続させられているのが明らかにされる。
『クマール・トーキー』はインド北部の小さな町カールピーと、町の中でも特に汚い場所にある、老朽化し逼迫した、町にただ一軒残る映画館の関係を探求する。映画とは、カールピーのような小さな町へ遠い都会の想像力を運ぶ手段であり、また地方色豊かな自分を捉え表現してくれる媒体だと、幾人にも期待される代物なのだ、とこの作品は描く。不信を保留にできる映画館という場と、経済悪化で町の存在が危ぶまれるカールピーの外部世界の間の場所―そのどこかに、宿敵テレビ映像の到来でさらに複雑となった、変化し続ける意味の磁場がある。
私に課せられた問いは単純だった。その終焉を脅かす諸々の力にもかかわらず、映画はいかに生き残るのか。この問題に取り組むには、ビデオ、テレビおよび資料映像を使って、幾筋ものストーリーを織りなしていくことが必須だった。この方法が、かの町の集合的想像力を捉える有効な手段であることが明らかになった。映画に対する固定的な価値判断や先入観に満ちた態度を、厳しく挑戦する断片こそが想像力と呼ばれるものなのである。
  beforenext

COPYRIGHT:Yamagata International Documentary Film Festival Organizing Committee