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3本足のカラス
The Three-Legged Crow
Sae-bal Kamagui
韓国/1997/韓国語/カラー/ビデオ/72分

監督・編集:オ・ジョンフン
撮影:パク・チマン、シン・イモ
脚本:ユン・ウンジョン
録音:イ・チャニョン
音楽:チョン・ミョンファ
ナレーター:ウォン・チャンヨン
製作:ナム・テクジン
製作会社・提供:プルン・プロダクション
(P.U.R.N Production)
3rd Fl. Chungkang Bl. 343-5 Shindaebang-2-dong Dongjak-gu, Seoul KOREA
Phone: 822-823-9124
Fax: 822-823-9125
E-mail: docupurn@chollian.net


オ・ジョンフン
Oh Jung-hun


1968年に生まれ。ドラマ『Murder in Progress』 (1993) 『Secret Society Member』(1994)を監督。1994年、プルン・プロダクションに入り、ドキュメンタリー制作を始める。『We Need to Make a Promise』 (1995)を監督し、『Chorok Class Children’s Diary on the Environment 』(1996)などの助監督をつとめる。

政治活動のため10年以上も投獄されている詩人が、獄中で出版した著作や歌詞のおかげで、ある種のヒーローとなっている。『3本足のカラス』は彼の人生を一方で紹介しながら、めまぐるしく変化する現代社会における彼の思想の実際性を問い返す。80年代の社会運動の嵐を経て今大きな転換期を迎える韓国社会を考えさせる。

【監督のことば】

1987年、二十歳の時、私はバーに座ってマッコリ(韓国の伝統酒)を飲みながら、先輩方の歌う聞き慣れない歌に聞き入っていた。「透き通 るような青い空と、白い雲…」という出だしの『鳥』という歌だった。
歌詞と曲が私の心をほぐしてくれたからだろうか、意味も無く私は泣き出してしまった。文学に弱い私は、パク・ノヘを知っているかと聞かれた時、著名でなければ知らないと答えた。その瞬間、私の無知はさらされ、プライドは砕かれた。そして彼らがくれた『労働の夜明け』という詩集を読み始めた。
それは驚きだった。その本には私は今まで経験したこともないような人生が凝縮されていた。「労働者」は堅物と思い込んでいた私のような者にとっては衝撃的だった。
これが私とパク・ノヘとの出会いだった。社会と向き合い、理想の人生とは何か、と暗い寮の床の上に寝転びながら、考えだした。それから10年がたち、今は「3本足のカラス」と向き合っている―というより「違う私」と向き合っている。
パク・ノヘを知ろうとして、1997年3月から9ヶ月かけてパクの家族、友人そして同志たちと話をした。徐々に彼を知るようになったが、実体をつかんではいないのではないかと心配にもなった。
人は期待するほど、受け身になり、依存していく。詩人パクへの膨らんだ期待は私をそうさせた。80年代から時代の中心で主張してきた彼から、先が見えずにイライラしている私の人生の答えを見い出そうとしていた。詩人パクの生きた時代と変化の意味を理解できれば、私の人生も意味をなしてくると考えたが、次第にパクや、私自身についてさえも分からなくなってきてしまった。私は過大な期待によって自分のすべきことを忘れてしまっていたのだ。
私のなすべきことは、何?それはなぜ?―そういう問いを投げることで、獄中のパク詩人ではなく、現実に生きる私が映しだされた。パク・キホ牧師の言葉の意味がしだいに分かってきた。「詩人を自由にすることで社会は素晴らしいものにはならない。詩人は素晴らしい社会によって自由を得るのだ。」
詩人パクに出会ったのは20才。今は30才になった。映画の撮影半ば、『Only Humans are Hope』を読みながら「私」の抱える問題に涙した。それは現実を生きる「私」であり、また生きなければならない「私」でもある。パク・ノヘという「問題」はひとりの思想犯だけのものではない。現代、あるいは自分の中の問題と向き合う人すべてが抱えるものである。
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