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貸出作品リスト:YIDFF 2019


別離』『ラ・カチャダ』『約束の地で』『光に生きる ― ロビー・ミューラー
自画像:47KMの窓』『トランスニストラ』『ユキコ
アジア千波万波:1931年、タユグの灰と亡霊』『そして私は歩く』『駆け込み小屋
見えない役者たち』『私の家は眠りの中に
アジア千波万波(短編):夏が語ること』『非正規家族』『ここへ来た道』『ソウルの冬

※監督の下段のデータは、製作国/製作年/使用言語/色/フィルム種別(35mmの場合のスクリーンサイズ)またはビデオ(ビデオフォーマット)/上映時間/字幕

YIDFF 2019 インターナショナル・コンペティション出品作品


- 別離

Absence
監督:エクタ・ミッタル
インド/2018/ヒンディー語/カラー/ビデオ(ブルーレイディスク※50Hz)/80分/日本語・英語字幕あり

インド郊外の農村では移住労働者として都市部に出かけ、そのまま消息を絶ってしまう男たちが少なからずいるという。残された妻や母は行方不明者の面影を求めて尽きない思いを廻らせる。パンジャーブ語の近代詩に着想を得た本作は、原題Birha(別離による悲しみの意)が示すように、愛する誰かが今ここにいないということについての映画であり、あらゆる不在のイメージが重層的に描かれる。最下層に生きる人々が貧困から逃れることができない限り、女たちの悲嘆もまた深い霧のように決して晴れることはない。幻想的な空間の中でインドの過酷な現実が浮かび上がる。

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- ラ・カチャダ

Cachada--The Opportunity
監督:マレン・ビニャヨ
エルサルバドル/2019/スペイン語/カラー/ビデオ(ブルーレイディスク)/81分/日本語・英語字幕あり

エルサルバドルの露店で生活の糧を得るシングルマザー5人が演劇のワークショップに参加し、講師とともに劇団ラ・カチャダを立ち上げる。リハーサルを繰り返すうちに、次第に自分たちの生活、状況に向き合うことになる。それは社会全体が許容している、女性に対する不当な暴力のサイクルだった。哀しみを肥った肉体に秘めて、陽気にふるまう彼女たちは、植え付けられたトラウマを乗り越えることができるのか。彼女たちに1年半密着して、その魅力を映像に焼きつけたマレン・ビニャヨにとっては初の長編監督作品となる。

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-約束の地で

In Our Paradise
監督:クローディア・マルシャル
フランス/2019/ボスニア語、フランス語、ドイツ語/カラー/ビデオ(ブルーレイディスク※50Hz)/77分/日本語・英語字幕あり

14年前に故郷ボスニアを離れフランス東部で家族とともに暮らすメディナ。その姉妹インディラは彼女を頼って移住を試みるも、ドイツで難民拒否の現実に直面し帰国を余儀なくされる。このふたりの女性とその子どもたちが思い描く未来には、いくつもの透明な壁が障害となって立ちはだかりその実現を阻もうとする。排外主義の高まりのなかでますます居場所を失っていく人びとの横顔と、救いの手を求めて発される言葉の声を、映画はきわめてドラマティックに捉えることに成功している。

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- 光に生きる ― ロビー・ミューラー

Living the Light--Robby Müller
監督:クレア・パイマン
オランダ/2018/英語、オランダ語、ドイツ語、フランス語/カラー/ビデオ(ブルーレイディスク※50Hz)/86分/日本語・英語字幕あり

ヴィム・ヴェンダースやジム・ジャームッシュの映画のカメラマンとして知られるロビー・ミューラー(1940−2018)の生涯とその仕事を辿る。『都会のアリス』や『ダウン・バイ・ロー』などの名高いショットの回顧とともに、本作はミューラーが家庭用ビデオやポラロイドカメラなどで撮影していたプライヴェートな映像を掘り起こす。家族との時間や滞在したホテルといった日常の中の光景を捉えたそのまなざしが、彼の人生と映画が地続きだったことを語ってくれる。誰もが簡単に映像を撮影できる時代にこそ観られるべき映画である。

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- 自画像:47KMの窓

Self-Portrait: Window in 47 KM
監督:章梦奇(ジャン・モンチー)
中国/2019/中国語(湖北方言)/カラー/ビデオ(ブルーレイディスク)/110分/日本語・英語字幕あり

監督が長期間にわたって撮影を続ける中国山間部の小さな村。谷を見下ろす小屋の壁には、年月を経て掠れた「〇〇主義が中国を救う」の文字。監督はひとりの少女にその○○部分についての考えを問い、少女は「戦争もしてないのに、国を救う必要なんてあるの?」と問い返す。ある老人は85年に及ぶ自らの半生を語り、一方少女は村の老人たちの似顔絵を描き続ける。この映画が記録するのは、老人たちとともにやがて消えていく記憶、風景の痕跡として残る歴史や経済的衰退だけではない。この小さな村は、厳しい冬の終わりに文字通り鮮やかな色彩に染まる。『自画像:47KMに生まれて(YIDFF 2017 アジア千波万波)の章梦奇監督作品。

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- トランスニストラ

Transnistra
監督:アンナ・イボーン
スウェーデン、デンマーク、ベルギー/2019/ロシア語、ルーマニア語、ウクライナ語/カラー/ビデオ(ブルーレイディスク)/96分/日本語・英語字幕あり

ウクライナとモルドバの境界にあって、1990年に独立を宣言した小国トランスニストリア。ひと夏の時を川辺や森、ビルの廃墟で過ごす17歳のタニアと彼女をめぐる5人の男の子たち。恋と友情の危ういバランスの上のつかの間の光の輝きを、16ミリカメラが記録する。夏から秋、そして冬へと移ろいゆく季節のなか、未来への不安と故郷の自然の心地よさの間で、若者たちの感情生活は揺れ動く。生きるためには、出稼ぎか、兵士になるか、さもなければ犯罪者になるしかない。過酷な現実を前に、無限とも見える青春の時間が空に吸い込まれていく。

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- ユキコ

Yukiko
監督:ノ・ヨンソン
フランス/2018/韓国語、日本語/カラー/ビデオ(ブルーレイディスク※50Hz)/70分/日本語・英語字幕あり

フランス在住の監督、生まれ育った朝鮮で暮らす母、戦時中に朝鮮人の恋人を追って日本からソウルにやってきた祖母。朝鮮戦争の渦中に生き別れ、母の記憶に残っていない祖母のことを仮に「ユキコ」と呼び、互いに薄い関わりしか持たない三人の女性像を親密に紡ぐ。母が独りで住む江華島、ユキコが人生最期の地に選んだ沖縄で、母のシルエット、日常風景、老人ホーム、摩文仁の丘が、繊細なカメラワークで重ね合わされる。ふたつの島で架空の物語が静かに交わり、「記憶にない者を悼むことができるのか」という普遍的な問いは、戦争の記憶を継承するという行為へと昇華していく。

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YIDFF 2019 アジア千波万波出品作品


- 1931年、タユグの灰と亡霊

The Ashes and Ghosts of Tayug 1931
監督:クリストファー・ゴズム
フィリピン/2017/パンガシナン語、イロカノ語/モノクロ/ビデオ(ブルーレイディスク)/115分

ルソン島パンガシナン州の町、タユグ。1931年、若きペドロ・カロサは搾取に苦しむ小作農のために立ち上がり、挫折した。現代に残るかすかな痕跡をたどり映像作家がその地を訪れるとき、ハワイから帰国し指導者へと成長する青年の姿、世を憂いつつ余生を送る老人の姿が残像のように立ち現れる。サイレント、フィクション、ドキュメンタリー、異なる時代と異なる映像表現が交錯し、忘れられた英雄の亡霊がモノクロームの映像に織り込まれてゆく。

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-そして私は歩く

At Home Walking
監督:ラジューラ・シャー
インド/2019/ヒンディー語、マラーティー語/ カラー、モノクロ/ビデオ(ブルーレイディスク※50Hz)/114分

インド・デカン高原の遊牧民や巡礼者たちを捉えた映像に、吟遊詩人の音楽と、詩的なモノローグが流れる。歩く人々の足元が繰り返し挿入される、流れるような映像は、歩くことは瞑想であると観客に気づかせる。モノローグでは、自由を求め、そして生きることの真髄を捉えようと試みるインド詩人らの言葉が多く引用され、時間を超越した豊かな世界が描かれる。瞑想から覚めた時、作品も終わる。心の旅を映像化した実験的作品。

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-駆け込み小屋

Hut
監督:蘇育賢(スー・ユーシェン)
台湾/2018/インドネシア語/カラー/ビデオ(ブルーレイディスク)/54分

台湾の某所にある、廃材で作られた粗末な小屋。インドネシア人労働者がやってきては自己紹介をし、過酷な労働環境やこの小屋へと逃げ込んだ経緯など、車座になって互いに話を聞く。話が終わらないうちに、ひとり、またひとりとやってくる労働者。いつしか小屋は人で溢れ、対話は通過する飛行機の音をBGMに渦を巻き、拍手、乾杯、泣き声が弾け、爆発寸前に……。多様な背景を持つ出稼ぎ労働者のワークショップから生まれた作品。

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-見えない役者たち

Invisible Actors
監督:チェ・ヒョンシク
韓国/2018/韓国語/カラー/ビデオ(ブルーレイディスク)/122分

ゾンビ役の練習をする4人の役者。演技と生活が融解する彼女たちの意識をはがすように、「国家と個人について」をテーマに、自らドキュメンタリー演劇を創作する。その設定された日常世界という舞台、その過程にある女性演劇人や労働者意識、やりがい搾取についての議論、さらには演技する日常という枠組みを取り込みながら、本作の監督が彼女たちとで、同時にひとつの映画を作る試み。さて、演劇と映画はどう実現していくのだろうか。

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-私の家は眠りの中に

This Is My Home, Come the Sleeping
監督:ハラマン・パプア
インドネシア/2019/インドネシア語/カラー、モノクロ/ビデオ(ブルーレイディスク※50Hz)/81分

生活の糧として定着しているクジの番号予想。ピウスおじさんもまた、毎日黙々とクジの番号を組み合わせるのが日課だ。そして、頻繁に起きる停電の合間だけ、数字を書く手を休め、ポツリポツリと自分自身のことを語る。平穏そうな生活の中には、今でも森が破壊され続ける現実、故郷の村を追われた惨劇の記憶とパプアの歴史がうっすらと漂っている。原題は、ピウスおじさんが、監督たちを家に招き入れる時に口にした言葉。

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YIDFF 2019 アジア千波万波出品作品(短編)

【こちらの作品の貸出料は10,000円です】


- 夏が語ること

And What Is the Summer Saying
監督:パヤル・カパーリヤー
インド/2018/マラーティー語/カラー、モノクロ/ビデオ(ブルーレイディスク※50Hz)/23分

男は父に教えられた道を通り、蜂蜜を採りに森に入る。むかし父から聞いたのは、村に虎が現れたという話。木々の葉をそよがせる風が、村のハンモックを揺らす。耳を澄ませば、女たちのささやきが聞こえる。静けさに耳を傾け、月明かりや、仄かな日の光に照らし出される風景を、色彩を抑えた繊細で緻密な映像で描き、夢の中にたたずむような豊かな時間を作り出している。

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-非正規家族

Temporary
監督:許慧如(シュウ・ホイルー)
台湾/2017/台湾語/カラー、モノクロ/ビデオ(ブルーレイディスク)/25分

低賃金で雇用が不安定な臨時工を続けてきている青年と、その両親くらいの年格好の女性と男性の3人が、廃墟になった工場跡で何やらしている。大きな木を持ち込んだり、落書きをペンキで消したり、清掃したり……。身の上話をしたり、休憩にはテーブルを作り、酒をのみ食事する。家族もどきの不思議な空間。1週間経って3人は去り、無人の廃墟に雨が降る。2003年に『雑菜記』でアジア千波万波奨励賞を受けた許慧如(シュウ・ホイルー)の新作。

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-ここへ来た道

Through the Border
監督:張齊育(テオ・チーユー)
シンガポール/2019/中国語(北京語、客家語)/カラー/ビデオ(ブルーレイディスク)/29分

幼い頃に中国を離れ、シンガポールに渡って来た監督の祖父。やがてこの地で家庭を持ち、電器店を営むようになっても、故郷・西安に残した家族を忘れることはなかった。がんが見つかり余命6ヶ月を宣告されたいま、朝が来れば店を開く生活のリズムを繰り返しながら、穏やかに最期の時を迎えようとしている。孫娘の持つカメラは、口数の少ない祖父の望郷の想いを優しくすくい上げ、〈この家〉の奥に眠る〈もう一つの家〉の記憶の扉を開く。

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-ソウルの冬

Winter in Seoul
監督:ソン・グヨン
韓国/2018/韓国語/モノクロ/ビデオ(ブルーレイディスク)/25分

ホテルの一室で執筆をする青年。外では寒いソウルの街を人々が行き交う、ある一晩。寡黙な謎の青年についてのナレーションであるかのように、女性の声が言葉を繰り出す。内容を掴み取ろうとすると、するりと抜けるようなリズミカルな言葉の流れは、夜のネオンや屋台、青年の動きと人々の吐く白い息と合わさって、ランダム性というリズムをやがて刻み出す。

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