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アジア千波万波
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  • 審査員
  • 瀬々敬久
  • 陳俊志(ミッキー・チェン)
  • [イラン、韓国、カナダ]

    アミン

    Amin

    - イラン、韓国、カナダ/2010/ ペルシャ語、トルコ語、ロシア語/ カラー、モノクロ/Blu-ray(SD)/120分

    監督、撮影、編集、録音、製作:シャヒーン・パルハミ
    音響:シャヒーン・パルハミ、 ディノ・エミリオ・ジャンコーラ
    音楽:アミン・アガイー
    提供:Cinemashena
    www.shahinparhami.info

    イラン、遊牧民ガシュガイ族の伝統音楽を引き継ぐ若き音楽家のアミン。音楽大学留学中で生活の基盤を置くキエフから故郷に戻り、消え行く文化を目の当たりにしながらも、その伝統音楽を、身体に記憶させようと収集する。昔と今のバイオリンを奏でるアミンの姿が、カメラに向かって切々と語る自身の生い立ちや思いと交わり、音楽への想いが共鳴する。音楽の源とアミン自身のルーツを辿る私的なロードムービー。



    【監督のことば】初の長編ドキュメンタリー『Jabaroot』(2003)で、私はカナダの地に息づくイランの伝統音楽について描いた。その映画の撮影中に、アミン・アガイーと知り合うことになる。アミンは才能あふれる若きバイオリニストで、イラン南部の遊牧民族ガシュガイ族の出身だ。

     ガシュガイの伝統音楽を受け継ぐ演奏家の中で、アミンは最年少だった。しかし、ガシュガイの音楽家たちとのインタビューやレコーディングを通じて、この音楽の歴史と理論において、最も造詣が深く、言葉で伝えることができるのがアミンなのだと分かった。

     それから8年後、ウクライナのキエフに暮らすアミンから連絡が来た。彼は、キエフ国立チャイコフスキー音楽院に留学し、音楽民族学を学んでいた。演奏と作曲を心から愛する彼は、自らの伝統音楽を守ることに一生を捧げようと決心したという。アミンも、その家族も、経済的には苦境に立たされていたが、この伝統音楽に全てを捧げる覚悟だった。

     アジア全域で、伝統を守ろうとする人々は今や絶滅の危機に追いやられている。若者は昔の暮らしを捨て、都会を目指す。ガシュガイ族も例外ではない。伝統文化を守ろうと努力するアミンのような若者は稀有な存在だ。美しく、独特な響きを持つガシュガイの伝統音楽を映画を通して世界に紹介できれば、きっとガシュガイの文化に興味を持つ人が出てくるだろう。国際社会においても、そして最も重要なことにイラン国内においても。


    - シャヒーン・パルハミ

    イランのシーラーズに生まれ、オタワのカールトン大学、続いてモントリオールのコンコルディア大学で映画制作と映画学を学ぶ。これまでに監督した短長編ドキュメンタリー映画は釜山国際映画祭やモントリオール世界映画祭、ホット・ドックス国際ドキュメンタリー映画祭、モスクワ国際映画祭、テサロニキ国際ドキュメンタリー映画祭、モントリオール国際ニューシネマ映画祭などで賞を受賞している。1997年に初短編作品『Nasoot』を監督し、3人のイラン系難民の死についての詩的な回想を行った。この作品はイランとディアスポラについての3部作の第1作目であり、後の『Lahoot』(1998)、『Jabaroot』(2003)によって完成した。2007年には実験的ドキュメンタリー映画『Faces』がシドニーのシネウェスト実験映画祭(flEXiff)で最優秀長編映画賞を受賞した。本作は自身が関わる最新のクリエイティブ・ドキュメンタリープロジェクトである。