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アジア千波万波
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  • 審査員
  • 瀬々敬久
  • 陳俊志(ミッキー・チェン)
  • [カナダ、中国]

    大海原へ

    On the Way to the Sea
    去大海的路上

    - カナダ、中国/2010/中国語/モノクロ/Blu-ray(HD)/20分

    監督、脚本、編集、録音:古涛(グー・タオ)
    撮影:余迅(ユィ・シュン)、潘峰(パン・フォン)、楊奥楠(ヤン・アオナン)
    音楽:フランシス・ドモン、ロベール・ノルマンドー、ミリスコンド・トポグラフィ
    製作:楊奥楠
    提供:GreenGround Productions
    greengroundproductions.com

    2008年の四川大地震で被災し、引っ越しを重ねる老いた両親を故郷の汶川(ウェンチュアン)県に訪ねる監督。家を奪われた両親との思い出をさかのぼりながら、地震の爪痕が生々しく残る土地に足を踏み入れ、カメラを回す。当時の映像や人々の悲痛な声、無機質に動く重機、アルバム写真。そこに残された現実の断片から想起される五感を凝縮し、8ミリフィルムに焼き付ける。その土地と人々の記憶を鎮魂するかのように、馬は大海原へ向かって疾走する。



    - 【監督のことば】2008年5月12日、私の故郷汶川は、中国史上最大の地震に見舞われた。公式発表によると、この地震で亡くなったのは69,159人。374,141人が重傷を負い、行方不明者も依然として17,469人を数えている。私の両親は、この地震の生存者だ。

     2008年11月、私はスーパー8のカメラを手に中国に里帰りした。まだ住む家のない両親や、地震の爪跡の残る土地に暮らす人々の状況をフィルムに収めるために。

     1年半以上もの月日をかけ、自家現像と、音と映像の実験を積み重ねた末に、この20分の実験的ドキュメンタリーが完成した。

     この映画で描かれているのは、地震で生き残った2人の老人が語る夢と思い出、そして彼らが感じたことだけではない。私は“大災害”そのものの先を見つめたい。頻発する災害が人生の一部になった状況から生み出される壊れやすい人間の営みと拠りどころを失った魂について、私は映画を通して、深く探りたかった。


    - 古涛(グー・タオ)

    1998年、中国の実験的ラジオ・パーソナリティとして芸術活動を開始し、様々なメディアを使った表現方法を模索する。演出家デビュー作は、前衛的な演劇『Evenfall YA LA SO』(2003)。ドキュメンタリー映画『翡翠駅』(2002)、『霧の谷』(2003)の制作にも参加。両作品ともYIDFF 2005の「雲南映像フォーラム」で上映された。カナダに渡った後、フィルムを使った、映像と概念の実験を試みるようになる。抽象的な無声映画『Butterfly Dream』(2007)は世界各国の国際映画祭で上映された。2010年に完成した実験的ドキュメンタリー映画である本作はトロント国際映画祭、バンクーバー国際映画祭、サンダンス映画祭、ロッテルダム国際映画祭、クレルモンフェラン国際短編映画祭をはじめ、数多くの国際映画祭に公式招待された。YIDFF 2011がアジアでの初上映となる。