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アジア千波万波 [中国]

一緒の時

Wellspring
在一起的時光

- 中国/2002/中国語/カラー/ビデオ/49分

監督、撮影、編集:沙青(シャー・チン)
製作、提供:沙青、季丹(ジ・ダン)

農村の一家で、脳性麻痺の少年を父親がひざに乗せ抱きかかえる。しゃべれない少年でも、父の言葉に足を動かし返事して会話が進む。ひとり働き手の母親は遠くの病院にいるが、手術の費用がなく少年は衰弱していく。なすすべもなく見守る家族や村の人。丁寧に撮影されたひとつひとつの映像と、感情に抑制をきかせた編集が、写っている事実以上に多くのことを伝え、涙を誘う。



【監督のことば】幼い頃から脳性麻痺を患う少年、雷煕冠は足で人とコミュニケーションをはかる。障害があっても、少年と家族が一緒にいることの喜びはいささかも減じないし、それどころか少年は健康な子どもよりも一層多く家族の温もりに包まれている。

 農家の両親は、生活の重圧に耐えねばならないだけでなく、血を分けた我が子の無辜の受難にも向き合わねばならない。社会や人々からの支えもなく、彼らの不幸な運命は絶望の色を濃くしていく。

 少年の病状が悪化する。周囲からの善意の忠告――子どもをあきらめ、苦しみを終わらせること――を、両親はそれまでと同じように婉曲に拒絶する。彼らは、子どもと一緒に苦しみつつ生きることを選ぶ。

 このフィルムが記録しようとするのは、彼らの苦しい生きざまだけではない。それ以上に、彼らが苦難に立ち向かう時に示される忍耐力、努力、誇り、さらにはその美しさを描けたらと思う。彼らは永遠に涸れることのない心の源泉を持っているようだ。それは、生命(いのち)と生命が寄り添うことの至福であり、貧しさや病、そして死によってさえも奪われることのないものなのだ。


- 沙青(シャー・チン)

1965年、北京生まれ。本作のプロデューサーでもある季丹と共同製作した『貢布的幸福生活』は2000年台湾国際ドキュメンタリー祭、2003年雲之南人類学影像展で、また『老人們』は1999年アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭、2000年マーガレット・ミードフィルム&ビデオフェスティバル、2001年台湾国際民族誌映画祭、2003年雲之南人類学影像展で上映された。本作は2003年の雲之南人類学影像展で大賞を受賞した。


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