english
アジア千波万波 [インド]

あなたはどこ?

Nee Engey--Where Are You
Nee Engey

- インド/2003/ヒンディー語、タミル語、マラーティー語、他インドの様々な言語/カラー/ビデオ/153分

監督、脚本、撮影、製作:R・V・ラマニ
編集:R・V・ラマニ、ヴィジャイ・シャンカル
製作会社、提供、配給:シネグラフ
Cinegraph
16, (New No. 10), 5th St. Bhaktavatsalam NagarAdyar Chennai 600020 INDIA
Phone: 91-44-244-20359
Fax: 91-44-249-10913
E-mail: ramanirv@hotmail.com

かつて南インド一帯で影絵芝居を上演していた人たちをあちこち訪ね歩くと、影絵は細々と続けられ、歌はまだ生きていた。映画音楽をかけて踊るショーや、アクセサリーを売る商売が生活の中心にすり変わり、影絵人形の「ラーマーヤナ」に現代的なスキットが加わっても、白い布の後ろに燈がともる瞬間のときめきは不変だ。食料難のときに皮の人形を少しずつ食べた話などおもしろい挿話もあるが、何より監督自身の自由なカメラが体験させてくれる影絵師たちとの出会いの喜びに魅了される。



-【監督のことば】動画をスクリーンに写し出す影絵芝居の人形使いたちは“映画作家の祖先”だと私は思う。映画・テレビ登場以前のインドでは、影絵芝居は何世紀にもわたり、大衆的な人気を博していた。影絵師たちは放浪生活を送り、旅先で荷をほどいてはスクリーンをセットし、その土地それぞれの言葉や特色を盛り込んだ「ラーマーヤナ」の物語を演じていた。今では、このような芸能形態を守っている影絵師たちはごく少数となり、演じられる物語も、彼らの生活スタイルも変わってしまった。

 ドキュメンタリー映画を撮る人間として、私は影絵師が直面する困難を我が身のことと感じている。メディアが商業化の渦に呑み込まれていくにつれ、独立映像製作がだんだんと難しくなってきているのだ。インドの農村社会は一時期、伝統的な影絵師とその公演を支えてきたが、今や変わりゆく価値観の岐路に立たされている。影絵芝居を上演する機会は減り、多くの伝統的な影絵師たちは、今では別の仕事に替え始めている。

 影絵師たちを追っていくうちに、私は自分もこのコミュニティの一員だと心の底から感じるようになった。南インドの影絵師たちを描いた本作は、あらゆるコミュニティや文化、伝統、芸術表現に共通して欠けてしまった断片をさがす旅になっている。これは動く映像芸術とその始祖たち及びコミュニティへのオマージュであり、影絵芝居、歴史、神話、映画、さらには我々の人生を映した印象主義的民族誌でもある。


- R・V・ラマニ

1957年生まれ。1985年、プネーにあるインド映画・テレビ学院の撮影コースを卒業。1990年より、インディペンデント・ドキュメンタリー映画及び短編映画の製作を始める。すでに15本を上回るインディペンデント映画を製作し、そのユニークなスタイルは国内外で高く評価されている。監督自身、自分の作品は表現の様々な諸相に分け入るためのものと考えている。ドキュメンタリーを基軸に製作しているが、その作品はフィクション性も提示する。彼の作品は多くの国際映画祭で上映され、2002年のムンバイ国際映画祭、第3回アジア太平洋トリエンナーレやDokumentARTなどでは特集上映が催された。撮影監督としても多くの映画で活躍。数多くの学校で教鞭をとり、ドキュメンタリー映画ワークショップも定期的に開催している。


アジア千波万波砂と水 | 一緒の時 | 350元の子 | ホームシック | 円のカド | 迷路 | あなたはどこ? | ニュー(改良版)デリー | 予言の夜 | 150秒前 | 人生のバラード | ノアの方舟 | ハーラの老人 | 蒲公英的歳月(たんぽぽのさいげつ) | ヒバクシャ ― 世界の終わりに | 3rd Vol.2 ― 2つの光の家 | それから | 塵に埋もれて | 家族プロジェクト:父の家 | エディット | ジーナのビデオ日記 | オルド | 彼女と彼、ヴァン・レオ | ビッグ・ドリアン | 永遠回帰 | デブリ | 雑菜記 | 指月記 | 霧鹿村のリズム | ショート・ジャーニー審査員キム・ドンウォン | 河瀬直美アジア千波万波スペシャルPart 1 | Part 2