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ヤマガタ・ラフカット!

助成:国際交流基金


「ラフカット」とは、映画や映像作品が完成する前の粗編集版(未完成)の状態を指す。このプログラムは、作品に満たない短い映像を上映し、見て、感じ、語り、聞く場を作ることを目的としている。「ヤマガタ・ラフカット!」は、映画の「完成」という枠組みをときほぐし、荒々しく削りだした世界の断片(ラフカット)を頼りに、世界中から映画祭に集う制作者、観客、批評家、研究者など、あらゆる立場の人びとがジャンルを超えて交わる場から「映像そのもの(フッテージ)」との「対話」の可能性を模索する試みである。



感覚から思考を立ち上げる

 世界は今、激動の中にあります。戦争や行きすぎたグローバリズムを一方的に伝えるメディアやさまざまなノイズが渦巻くSNSから、私たちの毎日の「思考」は無関係ではいられません。そして、そのほとんどは画面を通した映像として流れ込んできます。“怪物”のように複雑に膨れ上がった情報を前に、どうすれば自由な思考を取り戻せるか。それはもう一度、個人の感覚から思考を立ち上げることなのかもしれません。

 「ヤマガタ・ラフカット!」は、未完成の映像(ラフカット)を上映し、映画祭に集うあらゆる人びとが立場や国境を越えて自由に語り合う場です。2011年、東日本大震災の年に始まったこのプログラムは、「見る」ことと同等に「話す」ことを大切にしてきました。これは、目の前に映し出される映像から「感じた」ことに集中し、そこから「思った」こと、「考えた」ことを時間をかけて言葉にしていく。ゆっくりと漂う時間の中で、自由な思考を摑み取る試みです。

 上映は対話の前と後に二度行います。対話を経て、見え方が大きく変わる体験を通じて、映像と向き合う本来の力を感じていただければ幸いです。

酒井耕、渡邉一孝(プログラム・コーディネーター)