映画の都2025プロジェクト
当映画祭の第1回目、1989年。その準備・開催を記録したドキュメンタリー『映画の都』(1991)をまとめる際、落とされてしまった主題があった。映画祭を盛り立てようと立ち上がった地元山形の市民ボランティア「YIDFFネットワーク」の活躍である。この度、未公開の撮影ネガフィルム約13時間のデジタル化が実現し、幻の粗編集版(4時間)が高精細でよみがえった。さらに、小川紳介、田村正毅ら小川プロの面々が、山形市中央公民館ホールで追加撮影した特撮シーンの現場記録(Hi-8ビデオ)を高画質化し、再構成した短編『ミラーワークス '89 山形市中央公民館』を初公開。プロジェクトをめぐるトークイベント、旧吉池医院で関連展示とイベントを行う。
「映画の都2025プロジェクト」は「山形国際ドキュメンタリー映画祭 草創期資料のデジタルアーカイブ化事業」として公益財団法人図書館振興財団の2025年度振興助成、「予想もつかない何かと出逢える自由と不安と幸福感 35年前の映像との対話」として川村文化芸術振興財団2025年度ソーシャリー・エンゲイジド・アート支援助成を受けて実施しています。
特別協力:株式会社ヨコシネディーアイエー
協力:ACT 5 SCENE 1、ドキュメンタリー・ドリームセンター
映画の都 山形国際ドキュメンタリー映画祭'89
A Movie Capital
日本/1991/日本語/カラー/DCP(原版:16mm)/98分
監督:飯塚俊男
撮影:大津幸四郎、加藤孝信
技術指導:田村正毅
構成:小川紳介
編集:小川紳介、田村正毅、飯塚俊男、栗林昌史
録音、整音:浅沼幸一
進行(撮影):桝谷秀一
進行(仕上げ):白石洋子、阿部ひろ子
製作:伏屋博雄
製作会社:小川プロダクション
第1回YIDFF開催直前に逝去した映画作家ヨリス・イヴェンスの追悼、YIDFF '89準備の様子、作家たちのインタビュー、そしてシンポジウムで発言するアジアの作家たち。1989年の山形の記録は、時代と世界を活写する。構成は小川紳介。本作デジタル版の劇場での上映はYIDFF 2025が初。
飯塚俊男
1947年生まれ。1969年から小川プロに所属。小川紳介最後の2作品で助監督を務め、『映画の都』(1991)を監督後に独立。代表作に『小さな羽音 ― チョウセンアカシジミ蝶の舞う里』(1992)、『陸軍前橋飛行場』(2018)など。
ミラーワークス '89 山形市中央公民館
Mirror Works '89: Yamagata Central Public Hall
日本/2025/日本語/カラー/ DCP/28分
構成、編集:大江悠太
記録映像:小川プロダクション、桝谷秀一
技術協力:ヨコシネディーアイエー
製作:山形国際ドキュメンタリー映画祭
製作協力:神戸映画資料館
協力:加藤孝信、東京藝術大学大学院映像研究科
新たにデジタル化された『映画の都』(1991)の撮影ネガフィルムや撮影現場の記録ビデオから、1989年に山形が映画の都となった原風景を集め、フィルムの物理的なイメージを活かし詩的に描くエッセイ。国際映画祭の成り立ちと、現在も続く営みが、時を重ね交差する。
大江悠太
山形市生まれ、映画の都に育まれる。日本大学芸術学部卒業後、映画館、映画配給会社、放送局、ポストプロダクションの企業に勤務し、現在フリーランス。近年はデジタルアーカイブに取り組み、地域の文化と映像資産の活用に関心がある。
1990年2月11日 ラフカット上映会 ― もうひとつの『映画の都』
Feb 11, 1990 Rough Cut Screening: The Other Version
日本/2025/日本語/カラー/デジタル・ファイル/247分
監督:飯塚俊男
撮影、素材提供:桝谷秀一
技術監修:加藤孝信
協力:大江悠太、安井喜雄
製作:山形国際ドキュメンタリー映画祭
技術協力:ヨコシネディーアイエー
『映画の都』(1991)の制作にあたって監督の飯塚俊男は、市民ボランティア「YIDFFネットワーク」を主題に、当初4時間半のラフカットをまとめていた。1990年の身内向けに開催した4時間半のラフカット上映会では、ネットワークの桝谷秀一が上映風景をビデオ撮影。その映像をもとに再編集され、上映会の音声をいかしてよみがえったラフカットを集成。
ラッシュフィルムを活用した関連企画
『映画の都』のラッシュを見ながらワイワイしよう!
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多方面の協力を得てデジタル化された『映画の都』の未公開フィルム。その中から、映画祭立ち上げの知られざる原点が映る「YIDFFネットワーク発会式」「発会式での小川紳介のスピーチ」「デイリー・ニュース『クオリティ論争』」「YIDFF '89 予告編のためのインタビュー」といった場面を選び出し、撮影されたままの映像を視聴に適するように整理した上で、映画祭関係者や市民を対象にした上映ワークショップをこれまで3回にわたり開催してきた。発会式の熱気や、当映画祭発起人である小川紳介の思い、開催直前の最適解を探る議論などを記録した映像の上映会は、映画祭に心を寄せる参加者が世代を超えて言葉を交わす、継承の機会のひとつとなった。
上記の一部ラッシュフィルムは、旧吉池医院を会場に、下記日程でも上映予定。閲覧可能な関連書籍コーナー「『映画の都』文庫」も設置する。
開催日時:10月12日(日) 17:00−19:00、10月13日(月) 17:00−19:00
会場:旧吉池医院
