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ダイレクト・アクション

DIRECT ACTION

ドイツ、フランス、韓国/2024/フランス語、英語、アラビア語/カラー/DCP/212分

- 監督:ギヨーム・カイヨー、ベン・ラッセル
撮影:ベン・ラッセル 
編集:ベン・ラッセル、ギヨーム・カイヨー
録音:ロブ・ウォーカー、ニコラ・ベッケル、ブリュノ・オゼ
製作:ギヨーム・カイヨー 
共同製作:ミシェル・バラゲ
製作会社:CASK FILMS
共同製作会社:Volte Film
配給:Shellac
字幕協力:東京国際映画祭

環境破壊に反対するフランスのアクティヴィストたちが物理的に占拠した空間。そのZADのコミュニティで営まれる自給自足生活の断片が、息の長いショットで撮影される。材木の切断、畑を耕したりパンを作る労働、さらに庭で子どもの誕生日を祝い、大人がチェスを愉しむ様子などにもカメラが向けられていく。牧歌的にもみえるその営みが、しかし、彼らの直接的抗議行動でもあるのだ。農村での暮らしを紡ぐ人びとの手は、水道の民営化に反対するデモ隊の手となって警官と衝突し、仲間たちを溝から引き上げ、助ける無数の手にも変様していく。(TS)



【監督のことば】この作品制作の発端には、気候不安、文化闘争、政治的不安定、そして徐々にではあるがダーク・オプティミズムといったものへの、われわれ自身の関わりがある。2018年の国営空港拡張に反対するZADの闘争が勝利に終わったあと、われわれは環境危機をくぐりぬける実行可能な道筋の生き証人となることを願い、この映画に着手した。そのときはZADのなかから新たなエコロジー運動―― 「大地の蜂起」――が芽吹き、それがやがて現在へと爆発的に拡がりつつ、来たるべきものを定義しなおすことになろうとは夢にも思っていなかった。最初にZADに惹きつけられたのは、もとよりサラマッカの村人たちやアンダーグラウンドな音楽シー ン、バルト海沿岸地域のコミューンの人びとが送るようなユートピア的な生き方に関心をもっていたベン・ラッセルのほうである。ベンは前にいちど仕事をともにした友人であり、制作や抵抗の仕組みを研究した経験もあるギヨーム・カイヨーに連絡をとり、かくしてふたりで映画をつくることになったのである。われわれはともにZADの占領区域を訪れるなかで、建設されずじまいとなった空港予定区画とおおむね重なる形をした農地と周辺の森のそこかしこに、思索家や夢想家から戦闘的な強硬派や有機酪農を行う農業従事者、そして幅広い年齢の子どもたちまでの多様な人びとの集まりができていることに気がついた。ZADが占領した土地のその慎み深さは、 ネオリベ的な開発に対してオルタナティヴな時間軸を見せる控えめなヴィジョンを提示していた。そこには空港のギフトショップのかわりに集団経営のベーカリーが、管制塔の予定地だったところに「灯台」が、滑走路になったであろうところにはカバノキやオークの森があった。出入国審査がないかわりに、ホクオウクシイモリの生息する湿地があり、ラディカルなパン職人たちの開くシンポジウムがあり、パンクのコンサートもあるのだ。抵抗運動においては、マイナーなものがメジャーなものとなる。このコミュニティに出入りするために、われわれは隔月ごとに10日間の滞在を14ヶ月にわたって続けた。ZADの人びとと生活をともにし、一緒になって木を伐り、草むしりをし、壁を取り壊し、「武装解除」のための行動プランを練ったのだ。われわれは形式が内容と一致するよう努めた――しかもそれは、行動と理念が不可分であるようなコミュニティの人たちからダイレクトに刺激を受けてのことだった。そう取り組んでいくうちに、ユートピアとは共通の大義であり、映画はその実現のための理想的な場である――映画こそがいま現在の環境的不安定のなかで生きるためのモデルとしてのユートピアを問いただし、呈示し、作り変えることのできる理想的な手段であると考えるようになったのである。


- ギヨーム・カイヨー

1978年生まれのアーティスト、映画作家。ベルリンを拠点に、政治や社会の問題を扱う新たな形式を探求しつつ、自身の会社CASK FILMSで映画を制作する。彼の作品はベルリン、ニューヨーク、ロッテルダム、エディンバラなどの映画祭で上映され、短編作品『Laborat』(2014)は2014年ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した。


- ベン・ラッセル

1976年、米国生まれのアーティスト、映画作家、キュレーターで、現在はローマのヴィラ・メディチにレジデンス滞在する。民族誌とサイケデリック文化の交差する位置にあるその映像作品は、2002年以来世界各地の美術館や映画祭で展示・上映されている。