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Ich war,イッヒ ヴァール ich bin,イッヒ ビン ich werde seinイッヒ ヴェルデ ザイン!

I Was, I Am, and I Will Be!
日本/2025/日本語/カラー/DCP/100分

- 監督、撮影、編集:板倉善之
録音、聞き手:佐藤零郎
撮影補佐、録音補佐:上田唯一輝
整音:松野泉
協力:中村葉子、魏然(ウェイ・ラン)
機材協力:高木風太
製作・提供:CALDRONS

大阪の日雇労働者の街 釡ヶ崎の象徴だった「あいりん労働福祉センター」が2019年に封鎖される。大阪・関西万博開催を控え、ジェントリフィケーションが進められる中、映画はこの街の路上で生きてきた人物たちを追いかけていく。にわかに信じがたい素性を披瀝する者、社会構造の問題を訴える者、動物と生きる者、死を願う者。その一人ひとりの語りと向き合う長回しの映像は、画面に直接現れることのない、彼らの辿ってきた人生を想像させずにはおかない。やがて監督たちは、この街で命を落としていった者らの声にも、耳を澄ませていく。(TS)



【監督のことば】あの人たちがいなくなる、もう二度と撮れなくなる――大阪・ 釡ヶ崎の開発が加速度的に進行するのを目の当たりにしながら、そうした焦りにとらえられた。たぶん佐藤零郎にも似た感覚があったと思う。カメラを持ってふたりで街を歩き始めた。暴力的にシャッターが下ろされて間もない旧あいりん労働福祉センターの裏、シャツの黄色がまぶしい露天商の男に惹かれて声をかける。男は撮影を受け入れるやいなや2時間ぶっつづけで話した。とめどなくあふれでる言葉と太陽の光を浴びてくらくらした。存在感に圧倒されていた。それからおよそ週に一度1年間、路上や公園で惹かれた人を撮影した。何度も驚き、目の前の光景に「ウソやろ」と呆気にとられた。歩きながら「次はこうして撮ったらええんちゃうか」とふたりで話した作戦は、また誰かと会えば二秒で吹きとばされる。それはときどき僕らを打ちのめし、はたして映画ができあがるのか不安になった。しかし同時に、焦燥や先入観による頭と体のこわばりを解くサァーっと爽やかに吹きぬける風を、撮影中かすかに、でも確かに感じていた。風は、政治・経済的に生を翻弄されながらも自分の言葉を、死んだ仲間との関係を、動物との関係を手ばなさずにいる人たちから吹いている。それが映画を見る人ま でとどけば最高だと思う。

*本作のタイトルはローザ・ルクセンブルク最後の批評文からの抜粋で、「わたしはかつて在り、いま在り、こんごも在る!」(野村修訳、『ローザ・ルクセンブルク選集 第4巻』現代思潮社、1962年)を意味する。


- 板倉善之

1981年大阪生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。第2回シネアスト・オーガニゼー ション大阪の助成を受け『にくめ、ハレルヤ!』(2006)を監督。他に『日の底で』(2003)、『邪魔するな!』(2012)など。大阪・釡ヶ崎を舞台にした佐藤零郎監督『月夜釡合戦』(2017)にスタッフとして参加し街の現状を知る。その後、夜と資本主義を主題にしたウェブサイト「Nighthawks」(2015−)の活動 を開始。そこで撮影した映像の一部を中編映画『Nighthawks #1大阪・釡ヶ崎とその周辺』(2025)としてまとめる。同時期に本作も完成。現在CALDRONS製作の映画がいくつか進行中。