English

A Window of Memories


日本/2023/日本語/カラー/DCP/67分

- 監督:清原惟
テキスト:砂子旭子、清原磋智子、清原惟
助監督:太田達成
撮影:寺西涼、清原惟
録音:岩賦ク志
音楽:よだまりえ
構成:岩賦ク志、太田達成、清原惟
製作:清原惟
出演:砂子旭子、清原磋智子、小山薫子、坂藤加菜
企画:愛知芸術文化センター
制作:愛知県美術館
提供:清原惟

監督自身の父方・母方それぞれの祖母に話を聞き、そこで一緒に作成したテキストを孫世代のふたりの女性が朗読する。仕事、結婚、家族の話など、生活に根ざした思い出が細かに語られる。彼女たちの人生の記憶を朗 読によって構築し直すことにより、次第にふたりの祖母の話が交差しはじめ、私的で個人的な記憶と他者が語る経験との境界が曖昧になり、いつしか〈わたしたち〉の話になっていく。ふたりの祖母という異なる家族の記憶を掘り下げ、他者を通して共有する映画の試み。(KT)



【監督のことば】子どもの頃、父方の祖母と母方の祖母の家に、それぞれよく遊びに行っていました。ふたりとも私の「おばあちゃん」なのに、ふたつの家の場所は物理的にも離れていて、生活のあり方も全然違うものだったことがとても不思議でした。それぞれの家に行っている時は、まるで別の世界を行き来するような感覚だったように思います。

 そんな祖母たちの話を、じっくりと聞いてみたくなったのは、母方の祖母のひと言がきっかけでした。私が子どもの頃にはとうに全盛期を終えていた祖父の工場(こうば)で、妻である祖母も働いていました。祖母が言ったのは、その工場を自分が切り盛りしていて、時には経営の判断もしたりしていた、ということでした。祖父を立てる必要があり、そのことは長らく誰にも話してこなかったそうです。一度も聞いたことのなかったその話に驚き、祖母の内にあるさまざまな思いが私のなかに流れてきたのでした。このまま、ちゃんと話を聞く機会がなかったとしたら、しまわれた話はどこにいってしまうのだろう。そこから、長く生きてきたふたりの祖母たちの人生のことをもっと知りたいと思い、話を聞き記録をし始めました。

 映画では、祖母たちの言葉で語られる人生を、祖母たちと共にテキストに落としこみました。それを、私と近い年代のふたりの女性に朗読してもらっていま す。朗読するふたりの声や身体を通して、人生の出来事が読み上げられる時、他人同士である祖母たちや、読んでいるふたりの女性、そして私自身の記憶が重なり、混じり合うように思える瞬間に立ち会いました。

 祖母たちの語りは、絶対に他の誰のものでもない彼女たち自身のものです。でも、そうした固有の経験や語りを、普遍性を帯びた物語として他者と共有することは可能なのか。このことは制作中ずっと考えていたことでした。


- 清原惟

17歳の時、初めて友人と映画をつくってから 今まで、映画や映像をつくり続けている。大学院の修了制作である『わたしたちの家』(2017) が上海国際映画祭で最優秀新人監督賞を受賞し、ベルリン国際映画祭フォーラム部門など 10か国以上の映画祭で上映された。『すべての夜を思いだす』(2022)は北京国際映画祭 Forward Future部門審査員特別賞を受賞し、ベルリン国際映画祭やサン・セバスチャン国際映画祭をはじめとした、さまざまな映画祭で上映される。ほかの活動として、土地やひとびとの記憶について、リサーチを元にした映像作品を制作している。