あなたがトラックなら私は鹿
You Are the Truck and I Am the Deer- ベルギー、香港/2023/英語/カラー、モノクロ/DCP/5分
監督、脚本、撮影、編集、アニメーション:マックス・ファーガソン
録音:セッペ・インディーニュ
提供:マックス・ファーガソン
牙を剝かれ、体が貪られる。内に宿る痛み、傷、叫び。他者から被る痛みは、心に深い負荷をおわせながら、傷口をえぐり、こじあけ、つきささる。ペーパーアニメーションによってコラージュされる肉体の断片は、再生されては破壊され、蝶は蛾となる。監督が編む詩の言葉は、叫びの渦を生み出し、うねりとなり勢いを増す。五感を覚醒する監督の身体表現に、繊細かつ独創的なサウンドスケープが呼応し、全力の体当たりで画面の中から我々に迫ってくる。(WM)
【監督のことば】
私は女。私の女らしくない顔を見よ。
これは私の作品の中でささやきのように、時には叫びとして貫かれている言葉だ。私の映画は、自分自身の人生から出発しながらも、その経験を普遍的な感情に変え、癒やしあるいは救いの手となりうるかもしれないと考えながら制作している。
極めて大きいと同時に、極めて小さい存在であるという二重性に対して、私は果てしない畏敬の念を抱いている。私は自分自身を、世界の動きを目を見開いて延々と見続ける小さな子どもとして想像しながら、一生にわたって変わり続ける私の世界を、先人の知見にあずかりながら、手のひらに収まるほど小さな瞬間に切り分ける。
私は、作品を通して私の愛撫を世界に感じてほしい。私は触れたい、そして私に触れ返してほしい。
マックス・ファーガソン香港出身で、ブリュッセルを拠点に活動するキュレーター、映画監督。上映や展示を企画するキュレーションは自身の関心事を入れるカゴだと捉えている。映像表現と強く結びついた実践を行う一方で、経験をいかに他者に伝えうるかを追求するため、詩的言語の限界を試している。技術や形式、分野の境界線を曖昧にするこうした実践はその作品群の特徴である。ブリュッセルで活動するシネマ・コレクティヴ「LuCi」の創設メンバー。同コレクティヴは、あら ゆる形式の映像表現に関わる学生やアーティスト、文化芸術に携わる人らが集う場となっている。
