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[イラン]

ハキシュカ

Hakishka
هاکیشکا

イラン/2024/アゼルバイジャン語/カラー/DCP/49分

- 監督、製作:ナルゲス・ジュダキ、イマン・パクナハード
撮影:レザ・テイムリ
編集:シャハブ・ミハンデュスト、タヘレ・ホセイニ
録音:メイサム・ハッサンルー
提供:イマン・パクナハード

イラン北西部のパーカンディ村で、毎年春のなかばに開催される伝統的な儀祭「ハキシュカ」。それは女性だけが村を出て丘のふもとまで行き、正体の分からないお墓の前で皆で踊るという不思議な催し。今年もその日が迫り、女性たちは輪になってお喋りをしながら祭りの準備。参加を許されない男性たちは、謎が多いこの儀祭についてあれやこれやと話し合う。そして当日、会場に集まった女性たちは力強く歌い踊り、老いも若きも心を開放して「ハキシュカ!」と叫ぶ。儀祭を取り巻く人々の賑々しく生命力に溢れた姿を、カメラはダイナミックに捉える。(NRY)



【監督のことば】イラン北西部のとある人里離れた村では、頂上に墓を抱く丘から川が見渡せる。イランの女性は公の場で踊ることを禁じられているが、年に一度、村の女性たちが男子禁制のその丘に集まり、祈りと踊りを捧げるのだ。伝統的かつ社会的な制限があるせいで、この女性たちの集まりの中に入っていくなどということは、まず不可能だった。だが、私たちは、3年もの忍耐の時を経て、徐々に彼女たちの信頼を得て、この儀式を史上初めて記録することが許された。

 男女混合の撮影チームだったことが、信頼を得る上で功を奏した。男性女性に関わらず、関係を築くことができ、女性だけが参加する儀祭を実際に撮影する上で、とても重要だった。ナルゲスが女性であるために、女性たちは安心し、信頼を覚えてくれたのである。撮影と編集も、村の自然でゆったりとした静かなリズムに合わせて進められた。たとえカメラが入っても村の慣習に対して敬意を払い、押し付けがましくなく、干渉するようなことがないようにした。

 この儀式は女性たちが主導する集団的な行為である。確かに中心になる女性が指揮を執るものの、すべての参加者が平等に貢献しているのだ。それに感化されて、私たちも、どちらが主となることなく、役割を平等に分担し合ったし、音と映像すらも、同等の重みを持って女性たちとその儀式の精神を捉えていると思う。

 何年、何十年、いや、おそらく何世紀にもわたり、女性たちは疎外され続けてきたし、儀式的なダンスや創造的な不屈の精神が記録されることはなかった。私たちの目標のひとつは、この遺産を映画というかたちで保存することだった。神聖な儀式を描写することはもちろん、あらゆる困難をものともせず、イランの乾ききった高原で雨を祝い、乾燥に耐え、雨乞いをし続ける女性たちの強さや創造力や忍耐を強調することでもあった。


- イマン・パクナハード(左)、ナルゲス・ジュダキ(右)

イマン・パクナハードは1983年生まれ。ナルゲス・ジュダキは1975年、テヘラン生まれ。ふたりは2022年に短編『Bibijan』を共同制作している。