炭鉱奇譚
The Tales of the Tale侯硐奇譚
- 台湾/2024/台湾語、北京語/カラー/DCP/30分
監督:宋承穎(ソン・チョンイン)、胡清雅(フー・チンヤー)
脚本:胡清雅(フー・チンヤー)
撮影:宋承穎、張晃維(チャン・ホアンウェイ)、齊文榆(チー・ウェンユー)
編集:宋承穎
音響:黃子芸(ホアン・ズーユン)
エグゼクティブ・プロデューサー:曹琬凌(セリーナ・ツァオ)
製作:吳凡(ウー・ファン)
提供:Mirror TV Inc.
侯硐 は、かつて炭鉱で栄えた。日本統治時代から戦後しばらくまで石炭の採掘で発展したが、やがて廃れて閉鎖。施設は廃墟となり山の奥にひっそりと眠っている。当時、鉱夫として働いていた村の年長者たちには不思議な体験をしている者が多かった。それらを語る声を集めていくと、徐々に土地に染み付いた暗い歴史が立ち上がってくる。物語が生者と死者、もしくはさらにそれ以外のものとの、あわいに落ちる影に輪郭をつけ、この世に重なるいくつもの層を顕在化させる。語り継ぐことが、彼らがまだわれわれとともにいることを、忘れさせない。(IST)
【監督のことば】2022年、私たちは侯硐礦工文史館のために、『Out of the Cave』というドキュメンタリーを制作した。本作はそのプロジェクトの続きで、日本が統治していた時期、戦後に炭鉱業が栄えた時期、近年、炭鉱業が凋落した後のアーカイヴの時期など、さまざまな時期にまたがる多くの奇譚、逸話を集めている。
ほとんどは神、亡霊、悪魔が絡んでいる物語だ。うらぶれた廃鉱という景色とともに、引退した炭鉱夫たちによって語り継がれてきた物語なのだ。よくまとまった話もあれば、断片的なつぶやきもある。疑わしい話もあれ ば、ニュース記事や死亡記録つきの見解もある。インタヴューした人たちの個人的な経験からくる、長い間にわたって何度も語られ、こだまのように消えては、また現れてきた物語だ。
インタヴューした人たちは、かつては山の土地を耕していた農民だったが、その後、石炭を掘る炭鉱夫になった。彼らの労働が国の発展をけん引したが、比類のないほど危険な職業であり、高い代償を払ってきた。炭鉱業への投資が次第に減少した結果、侯硐は活気のある、労働集約型の炭鉱の町から、山の中に隠れ、木が生い茂る中にある、忘れられ放棄された場所になってしまった。
これらの人たちは自分の話を聞いてもらいたがっている。自分が耐えてきた悲惨な経験が忘れ去られないように。亡くなった人がいる中、自分は生き残ったという事実を、どうやって抱えて生きていくのか。亡くなった人たちの亡霊について覚えていることは? それら亡霊は神になるのか? 彼らは物語を話すことを通して、亡霊たちを苦難から解放しようとしている。話すことが、終止符を打つことになるのだ。
宋承穎(ソン・チョンイン)国立台北芸術大学卒業。『Bird Window Collisions』(2023、胡清雅と共同監督)ほか、監督、脚本、編集を担当した作品が複数ある。
胡清雅(フー・チンヤー)台北在住。台湾のインディペンデントメディアでのフリーライターを経て、社会変化と人間の姿を描くドキュメンタリーを制作。アジア太平洋/文化研究センター研究員、CNEXスタジオ制作コーディネーターなども務める。
